パンデミックで誕生「コロナ長者」の夢と現実 長者の資産はピーク時から平均して58%も減少
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は人々の生活や仕事、遊び、教育など全てを変えた。そして、誰にも考えられなかったような巨大な富が生まれ、そうした資産が一気に失われる可能性があることも分かった。
資産の急膨張とバブルの破裂
コロナワクチンを開発・販売した米モデルナの最高経営責任者(CEO)ステファン・バンセル氏の資産は一時150億ドル(約2兆2400億円)に膨らんだ。モデルナの株価が2400%近く値上がりしたためだ。
リモートワークの一般化で、一躍世界的な資産家となったのが、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのCEO、エリック・ユアン氏だ。中国から米国に移り住む前、米国のビザ(査証)を8回も拒否された同氏の資産は286億ドルに達したこともある。オンライン中古車ディーラー、米カーバナを経営するガルシア親子の資産はピーク時には320億ドルとなった。
新型コロナと世界的な低金利環境で、驚異的なペースで資産を増やしたビリオネア58人の一角が、バンセル氏やユアン氏、ガルシア親子で、言ってみれば彼らは「コロナ長者」だ。
これら58人の資産は急激に増えたが、その後の資産減少もまた激しかった。ブルームバーグ・ビリオネア指数を構成する他の富豪131人よりきついペースの増減で、この131人はコロナによる世界的変化にそれほど依存せずに資産を倍以上に増やした。