椎名林檎が炎上「使ってはいけないマーク」の謎 「ヘルプマーク」「赤十字マーク」なぜ禁則?

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ーーそれぞれのグッズの影響について教えてください。

まず、赤十字マークについては、国際的な「ジュネーブ条約」により、戦争や紛争などで傷ついた人びとと、その人たちを救助する活動や施設を指し示すものとされています。また、赤十字マークの付された病院や救護員には、絶対攻撃を加えないというルールも厳格に定められています。

赤十字マークとまぎらわしいものをみんなが使ってしまうと、マークの理解があやふやになり、戦場などで救護員や病院を適切に守れなくなってしまいます。ということで、先ほどの条約に加えて「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」(赤十字法)という国内の特別法があり、赤十字マークや類似するマークは、赤十字社や法律などで認められている組織以外は、みだりにつかってはいけないことになっています。

グッズが法律に抵触している可能性

「みだりに」という表現は、正当な理由なくいっさい使用してはいけませんという意味に解釈でき、通常の著作権や商標権と比べてもかなり強めの表現となっています。そうした法律の表現から考えると、「夢語りマスク」は、法律に抵触している可能性はたしかにあります。

一方で、「夢語りマスク」を国内のファンが持ち歩くことで、どこまで実害があるかというと、やや疑問も感じます。「夢語りマスク」は、「りんご」のようなイラストと「夢」という文字を組み合わせていて、単独の赤十字とはかなり印象が異なるものですね。

現実に、赤十字活動を保護するという趣旨からしてなにか不都合なことは起きるのでしょうか。赤十字マークだけをトレードマーク的に使っているようにはみえませんし、果たして「戦場・紛争地での救護活動を守る」という目的からして実害があるのかというと、疑問も感じます。とはいえ赤十字法はかなり強い表現を使っていますので、法的には抵触の可能性も否定はできないでしょう。

ーーヘルプマークとの関連についてはいかがですか?

ヘルプマークは東京都を権利者として登録商標されているものです。ただ、ネームプレートなどについてしか商標登録をおこなっていないため、今回のグッズだと商標権侵害はなさそうです。登録商標以外ですと不正競争防止法が関係してきますが、今回のようにグッズでの図柄的な使用の場合、この法律に違反するかも微妙です。

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