椎名林檎が炎上「使ってはいけないマーク」の謎 「ヘルプマーク」「赤十字マーク」なぜ禁則?

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ただ、さきほどの赤十字マークのお話とは大きく違うのは、赤十字マークは、戦場などにおける救護活動を識別できるようにするという点が大きな目的だったのですが、ヘルプマークの目的は、つけている人が「サポートを必要としています」という意思表示ですよね。しかも、そうした場面は、日常生活のなかで、たくさん出てくるものです。

すると、それと似ているグッズをファンたちが身につけていると、実害があるだろうという気がするのですね。つまり、ヘルプマークのまさに趣旨である、サポートを必要としている人をしっかり示すという点からは、かなりまぎらわしいように思えます。

ヘルプマークに類したグッズ、見直しの必要性が高い?

ーー「まぎらわしい」というのは、法律やルール上は微妙なところだけど、今回はモラルや倫理の問題として考えていく必要があるということでしょうか?

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

ルールとモラルの関係は、一概にはくくれない多面的な問題です。が、広い意味ではそうとも言えるでしょう。つまり、ヘルプマークについて、現在の法律で違法に該当するかは微妙であるとしても、現実に実害が生じるかもしれないとなると、それでもやるかというレコード会社の社会的姿勢が正面から問われやすいですね。

あるいは見方を変えれば、「まぎらわしい」ということは、やっぱりどこかしら、不正競争的な要素が働いている、つまり実質において違法に寄っているということなのかもしれません。

ですので、ヘルプマークに類したグッズについては、見直しは十分ありうる判断だと、わたしは感じます。赤十字マークにかんしては、実害は果たしてあるのかなという疑問も感じつつ、椎名林檎さんサイドがどのようなお考えでこうしたデザインを使い始めたのかも知りたいところですね。

ーーファンの間では、あの赤い十字マークは2000年の「下剋上エクスタシー」のライブのときから、シンボルとして親しまれてきたものでした。 

そうだったのですか。ヘルプマークと類似しているグッズがなければ、赤い十字のほうは、これまで通りあまり違和感なく受け入れられていた可能性はあるのかもしれませんね。 

(ライター・今川友美)

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