米失業率、約6年半ぶりの低水準 2月米雇用は大幅増、29.5万人増に
[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日発表した2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が29万5000人増となり、予想の24万人を上回って増加した。失業率は5.5%と、2008年5月以来の低水準を記録。連邦準備理事会(FRB)の6月利上げ検討を後押しする可能性がある。
失業率は1月の5.7%から低下。予想の5.6%も下回り、多くのFRB当局者が完全雇用が実現されたと見なす水準に近づいた。
時間当たり賃金は24.78ドルと、前月の24.75ドルから0.03ドル増加。前年比では2%増となる。1月は前年比で2.2%増加していた。平均週間労働時間は34.6時間と、前月から横ばいだった。
雇用者の増加数が20万人を超えたのは12カ月連続となり、1994年以来最長を記録。また、27週間以上失業している人の数は2009年1月以来最小となった。
ウェルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「米経済はFRBが政策の正常化を開始するにふさわしい状態になったと見ている。FRBは6月に金利水準を変更する軌道に乗っていると考えている」と述べた。
FRBは17─18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、エコノミストの間では、FRBは今回のFOMC声明から政策金利の先行きを示すフォワードガイダンスの「忍耐強くいられる(patient)」との文言を削除することで、6月の利上げ開始を排除しないとのスタンスを示唆するとの見方が大勢となっている。
BTIG(ニューヨーク)の首席市場ストラテジスト、ダン・グリーンハウス氏は、「FRBは今回のFOMC声明から、『忍耐強く』との文言を削除し、年内の利上げ開始に向け準備を進めるのはほぼ確実と見られる」と述べた。
また、バンク・オブ・ザ・ウエストの首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は、「労働市場は波に乗っている。これにより、世界的な景気低迷や原油価格の急落により米経済見通しが悪化するとのFRBの懸念が和らげられ、6月に利上げに踏み切る軌道はぶれることはない」と述べた。
雇用統計発表を受け、外国為替市場でドルが主要通貨に対して上昇。ドル指数<.DXY>は11年半ぶりの高水準を付けた。
ただ、先物市場は引き続き9月の利上げ開始が織り込まれる水準となっている。
2月は労働参加率は62.8%と、前月から0.1%ポイント低下。ただ、生産年齢人口に占める就業者の割合は59.3%と、5年半ぶりの高水準で推移。本人の意に反して職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みながらパートタイムで働く人を含めたU6失業率は11.0%と、前月の11.3%から低下し、2008年9月以来の低水準をつけた。
業態別では、民間部門の雇用者数は28万8000人増加。建設業は2万9000人増、製造業は8000人増となった。政府部門も7000人増加した。
今回の雇用統計が堅調となったことで、このところの米経済成長の鈍化は、悪天候や西海岸の港湾労使交渉問題などの一時的な要因を反映したものだったとの見方が裏付けられた。
小売り大手ウォルマート・ストアーズ<WMT.N>は前月、4月に時間給の正社員およびパートタイム従業員の賃金を時間当たり少なくとも9ドルまで引き上げると発表。このほか、ディスカウント衣料小売り大手TJX<TJX.N>や医療保険大手のエトナ<AET.N>も賃上げを発表しており、今後、米国で賃金は上昇していくと見られる。
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