上野東京ライン、「漁夫の利」を得るのは? 3月14日開業!北関東と羽田が近くなる

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京急が上野東京ライン開業の恩恵を最も受けそうだ(撮影:尾形文繁)

とはいえ、羽田アクセス新線計画の趨勢が判明するのは当分先。それまでの間、がぜん優位に立つとみられるのが京浜急行電鉄(京急)である。

北関東から上野東京ラインを走ってきた列車が東京駅以南で停車するのは新橋駅と品川駅。浜松町駅は通過してしまうのだ。つまり、羽田空港に向かう上野東京ラインの利用者は、浜松町駅発着のモノレールではなく、品川駅発着の京急を使うことが予想される。

単に浜松町駅に止まらないから京急が有利というだけではない。

たとえば、これまで常磐線の北千住駅から浜松町駅までは26分、品川駅までだと31分かかっていた。だが、上野東京ライン開業後は品川駅まで乗り換えがなくなるため、品川駅へは23分で着く。モノレールよりも京急のほうが羽田空港に早く到着する可能性が高まるのだ。

高崎線や宇都宮線も同様だ。高崎駅や宇都宮駅も品川駅まで直通列車を利用すれば、7~9分を要していた乗り換え時間がなくなるため、やはりモノレールよりも早く到着できる可能性が高くなる。

千葉、埼玉で京急がPR攻勢

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京急は赤羽などでラッピングバスを走らせてPRする

京急はこのチャンスを最大限に生かすべく、常磐線の柏・松戸・北千住、高崎・宇都宮線の赤羽、浦和、大宮駅で集中的にPR活動を行い、キャンペーンポスターの掲示やラッピングバス、中吊り広告の実施など、認知度向上に努めている。

一方、モノレールは「現段階では安全・安定輸送が最優先。今後、状況に応じて対策を考えていく」(東京モノレール広報)と、静観の構えだ。

現在、羽田空港へのアクセスにおける京急とモノレールのシェアは6対4程度で京急がリードしているとみられる。上野東京ライン開業後は、この差がさらに広がることは間違いない。東京モノレールの親会社がJR東日本であることを考えると、上野東京ラインの開業によって京急に塩を送る格好になるのは、何とも皮肉な話だ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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