論破王ひろゆき氏を「論破する」秘策、プロの結論 「論破・中傷合戦」で見失いがちな「大事な視点」

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ひろゆきさんは常に、「言いたい放題」のように見せながら、天才的な勘で「空気」を読み取り、必ず世論の共感を得られる多数派のポジショニングをとってきました。絶対に負け筋はとらない

ある意味、彼にとって論破とは「プロレス」なのでしょう。

より多くの観客を楽しませ、声援を送ってもらったほうが勝ち。論破する相手はそんなエンタメ、ショーの中での「マングース」でしかないわけです。

真剣勝負の「レスリング」だと思い込み、真剣に歯向かうほど、いいように利用され、術中にはまってしまいます

反対派側にとってみれば、こんな「プロレスの場」におびき寄せられ、土俵に乗ってしまうこと自体が得策だったのか、という気もしますが、せっかくこれだけの注目を得られたのですから、これを契機に「辺野古問題への興味関心を高めていくお手伝い」をしてもらうという方法もあるかもしれません。

これまでの歴史的な経緯や沖縄県民の多くの犠牲に対する配慮も敬意もなく、嘲笑し、冷笑するような物言いは大変に残念だ。
一方で、 この問題に興味・関心を持っていただいたことについては、ありがたい。
ぜひ、ひろゆきさんにも一緒になってこの問題の解決策を考え、動いていただけないだろうか。


 というぐらいの度量があれば、きっと関心を集め、支持の輪も広がっていくのではないでしょうか。

「論破」よりも「対話で実践的な解決」が重要

昨今、「論破」をもてはやす風潮が非常に強くありますが、一方が「拳」を挙げれば、一方は「棍棒」を持ち出します

11月17日(木)に岡本純子さんの10名限定の「雑談力&話し方セミナー」を紀伊國屋書店梅田本店で実施します。詳細はこちら

「人の喧嘩は楽しい」と、まさにローマ時代のコロッセオの戦いのように観客はけしかけるのでしょうが、「世論の息抜き」になるかもしれない一方で、「安易な分断」を招く危険性もあります

これからの議論は、たんなるエンタメとしての「論破・中傷合戦」で終わらせるのではなく、お互いへの敬意ある「対話」を通じて「実践的な解決」へと歩みを深めていく方向に舵を切ることができれば、と切に願っています。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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