子がやる気出す「ほめ方・叱り方」上手な親の絶妙技 自分を主語にして話す「アイメッセージ」を活用

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さらに、アイメッセージを使うことのメリットはもう1つあります。それは、相手と自分で「会話」がしやすくなるということです。

この「アイメッセージ」というのは、実は「アサーション」というコミュニケーションスキルの1つです。「アサーション」は、「人は誰でも、自分の意思や要求を表明する権利があり、だからこそ自分が一方的に自分の意図を伝えるのも、相手が一方的に自分の意図を伝えるのも間違っている」という考え方に基づいてコミュニケーションすることをいいます。

この考え方は非常に重要です。親が子どもに一方的に押し付けるだけの教育をしていると、たいていの場合、子どもは萎縮して、自分の意見を言えない子どもになってしまいます。それどころか、「親の言うとおりにやればいいや」と考えて、「自分の頭で考える」ということをしなくなってしまいます。

子どもを育てるうえで重要なのは、親と子の会話なのです。そして会話とは、対等な関係性の中でしか成立しません。

必要なのは「speak」ではなく「talk」

英語では、「talk」と「speak」は同じ「話す」という意味の英単語です。でもこの2つはまったくの別物です。「talk」は自分だけでなく相手も話をして会話をすることを指すのに対して、「speak」は一方的に自分が語ることを指します。

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子どもに対して一方的に何かを言うのは「speak」であり、「説教」でしかありません。子どもからも何かを話してもらうのが「talk」であり、子育てには「会話・対話」が必要です。

だからこそ、アイメッセージが重要なのです。自分を主語にして意見をぶつけることで、逆に相手の意見にも耳を傾ける用意があることを伝えられます。ただ叱られているときには、相手に対して自分の意見を伝えようとは思いませんよね。でも、相手が感情で何かを伝えたら、自分も感情で何かを返すことをすると思います。

僕も親から叱られるときに「こんなことしちゃダメでしょ!」ではなく「こうすると、私が悲しいのよ」とアイメッセージを言われたうえで、「で、なんでこんなことしたの?」とか「これってなんでいけないことだと思う?」という会話をされた記憶があります。そうやって伝えられると、なんとなく叱られてふてくされていた自分も「僕はこう考えて……」とコミュニケーションを取る気になった記憶があります。

いかがでしょうか。親と子の関係性を考えると、多くの場合、親は子どもに自分の感情を見せずに「親」という絶対的な存在に自分の身を置きたがってしまうことがあると思います。ですが、そういうときにはぜひ「アイメッセージ」を心がけて、会話してみてください。

黒田 将臣 現役東大生

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くろだ まさおみ / Masaomi Kuroda

東大合格者0人の高校で、高校入学当初は下から数えた方が早い順位だったが、東大受験に合格するためのテクニックをハックし、2浪して東大に合格した。いまだだに努力神話の建前が根強い一方で、進学校や予備校などの 高額な教育産業が受験ノウハウを独占している受験の世界を変えるため、東大生集団「カルぺ・ディエム」に所属して、自分で受験のゴールを設定し、 自力で東大合格できる受験生を一人でも増やすために活動している。

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