日本が「仲間外れ」にされかねない技術流出の恐怖 モノだけでなく人からも漏れる事にどう対処する?
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):台湾は先端半導体生産の拠点だ。台湾で有事が発生した場合、半導体の供給が絶たれ、世界的な影響が起きる可能性がある。そのため米国主導で中国包囲網的な半導体供給網を作る意図だと思うが。
玉木雄一郎氏(国民民主党代表):韓国はほとんど中国を相手に半導体ビジネスをしている。半導体に限らず、経済安全保障ということで囲い込んでいくということだろう。とはいえ、米商務省は、例えば、インテルなど自国企業に中国とのビジネスの許可を出している。こういう枠組みは非常に重要だが、日本はうまく、したたかに利用していくことが大事だ。
松山キャスター:デカップリング(切り離し)とよく言われる。米国など自由主義陣営と、中国を中心した陣営を完全に分けるということなら、半導体供給で日本は米国と同じような形でやっていけるのかどうか。
甘利明氏(自民党前幹事長・党経済安全保障推進本部長):戦略物資のサプライチェーンの生産拠点をどうするかと、市場としての中国は考え方を分けたほうがいい。中国は自らの技術は外に出さないが、他国の技術は中に入れようとする。すべての技術で優位に立つという政策だ。ノウハウを公開させられるような場所に生産拠点をつくると、その技術は取られる。
ただ、市場として輸出をする。製品から技術を取られるのなら、一世代あるいは半世代前のものを輸出するという市場としての捉え方と、生産技術を構築していく場所は分けた方がいい。生産拠点としては、同盟国、同志国間でサプライチェーンを組むことが絶対必要だ。
軍事転用可能な半導体関連製品の禁輸
松山キャスター:米バイデン政権は7日、軍事転用可能な半導体関連製品の中国への輸出について完全に許可制にする規制強化措置を発表した。日本は同じような厳しい措置はとれるのか。
甘利氏:それに並んだ措置を取らないとサプライチェーンから外される危険性がある。軍事技術に転用されるものは、輸出先がそれを使って日本の脅威になることになっても、それに対抗できる技術がこちらにあるという余地を残して貿易政策を考えないといけない。最高のものをどんどん与えていけば、向こうの資金力と人材力の方が上だから、こちらをオーバーライド(圧倒)する危険性がある。技術移転を常に戦略的に考えるという思想が、政府にも民間企業にも必要だ。