日本が「仲間外れ」にされかねない技術流出の恐怖 モノだけでなく人からも漏れる事にどう対処する?
橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):セキュリティクリアランスが重要なのはすごくわかるが、日本ではかつて防犯上監視カメラを付けることに国民は猛反対した。状況が変わってきて、監視カメラはどんどん付き始めたが、日本の場合、バックグラウンドのチェック、背景の調査というのを国民はすごく嫌がる。
だからこそ日本には情報機関もない。旧統一教会問題で、自分たちのバックグラウンドさえ調査できないような政治家が、つまり、旧統一教会の関係者かどうか「分からない」、「知らない」ということを放置しているような永田町が、民間には「あなた、ちゃんとこれチェックしてるのか」と言い、民間のほうは「いや知らなかった」、「いや、知らないは通用しないよ」となる。
日本では背景調査はなかなか難しいということを前提にどう進めていくかが重要だ。いきなりセキュリティクリアランスといっても、僕はわかるが、プロセスをしっかり考えないと(国民に)受け入れられないと思う。
日本の経済成長にとってなぜ極めて重要か
玉木氏:特定秘密保護法ができた時も、この議論はあった。経済安全保障の観点からしっかり説明をしていくことが大事だ。軍事・民事関係なく、共同開発・共同研究をやっていかないと日本は生き残っていけない。しかし、その会議にすら入れてくれなくなる。
民間企業(同士)でも、セキュリティクリアランスをクリアした人しか共同開発のチームに入れてもらえない。いくら理念上で研究開発分野ではデカップリングで、市場では一緒に商売やりましょうと言ったって、研究開発の所から排除されていく。特にファイブアイズ(諜報活動の協定を締結している米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドの5カ国)は(日本を)入れてくれなくなる。日本の経済成長にとって、これは極めて重要なんだということを、政治家が、与野党超えてきちんと国民に説明していくことが必要だ。
甘利氏:これは第三者機関をつくって否応なしにやるということになる。今、日本のAI(人工知能)研究の最先端は、東大の松尾豊先生のところだろう。そこの研究者の半分ぐらいは中国人学生だ。極めて優秀だ。極めて優秀で使わざるを得ないが、この教室を出た後どうするかまでは分からないと。そういうリスクを日本は抱えている。
経済安全保障の新しい提言を出した際、岸田首相とセキュリティクリアランスの話になった。岸田首相は(この問題の重要性を)わかっていて「甘利さん、セキュリティクリアランスって本当にできるか」と(述べた)。ファイブアイズを満足させることなどすぐにはできない。一歩一歩進んでいくしかない。
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