戦争や主要国の金融政策の大幅変更など、予測が難しい変動が起きたとき、特に買われやすいのがアメリカドル・スイスフラン・日本円です。
アメリカドルは基軸通貨のため、多くの市場関係者からの信頼の厚い通貨です。また、スイスは永世中立国。政治的に安定しており、他国の影響を受けにくいとされています。このように、アメリカドル・スイスフランには政治的・経済的に買われやすい基盤があります。
世界マーケットで「安定通貨」と呼ばれていた「円」
では、なぜ日本円は国際的に見て「安全通貨」と言えるのでしょうか。
そこには、大きく分けて3つの背景があります。
●低金利である
低金利通貨である日本円は、世界情勢が落ち着いている局面においては魅力的な通貨ではありません。比較的高金利のアメリカドルやユーロに投資するほうが有利だからです。その際に投資家は、“金利の低い通貨で資金を調達し、金利の高い通貨に交換して運用”するという取引を行います。この取引は「キャリートレード」と呼ばれており、“日本の金融機関から円を借りる→円を売る→高金利通貨を買う→投資する”という流れです。
ところが世界情勢が緊迫すると、多くの投資家はリスクを低減するために持ち高を手仕舞います。「キャリートレード」も例外ではなく、“投資していた株や債券などを売る→代金として受け取った高金利通貨を売る→円を買う→日本の金融機関に資金を返済する”という動きが活発になるのです。
●デフレ国である
デフレ国である日本では、モノの価格が下がり続けています。これは逆の見方をすると、通貨の価値が上がり続けているとも言えます。すなわち、通貨の価値がモノを通じて担保されているため、有事の際にも安全だろうという考え方です。
●世界最大の対外純資産がある
対外純資産とは、日本政府や企業・個人が外国に保有する資産(対外資産)から負債(対外負債)を差し引いたもの。有事の際には、日本の投資家は海外の資産を売却して円に戻す可能性が高く、円が買われやすくなるという考え方です。
このように、有事の際には円が買われやすくなるため、「円は安全通貨」というのが市場の定説になっているのです。
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