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石川に住む「ムスリム家族」心を閉ざす差別の重み 映画「裸のムラ」五百旗頭監督が感じたこと

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  • 朝山 実 インタビューライター
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━━子供たちが、五百旗頭さんたちに気をつかったということですか?

そうですね。姉なり妹があの態度だったので、気を遣うというか、そこは典型的な日本人的な振る舞いですね。それを使わなかったのは、長さの問題と、彼女が抱えている差別の重さを伝えるには、ないほうが最適だろうと思ったからです。

早送りで観る人のために映画を作っていない

━━いまの選択もそうですが、この映画は、わかりやすい台詞でつないでいくテレビ的なことをせず、黙っている態度とか、ちょっとした表情を捉えることで背後にあるものを伝えようとしているのを感じました。最近は、台詞のないシーンは飛ばして映画を観るというのが流行りでもありますが、この映画はそうさせない意思を感じます。

早送りで観ようとするひとのために僕は作ろうとは考えていないですし、そういう流れには抗いたい。余白の部分で想像をめぐらしてもらいたいんです。そこはテレビドキュメンタリーが嫌うところでもあるんですが、映画にするからにはそこを大事にしました。『これ、どういうこと?』『あのシーンは何だったの?』。観終わったあとに話したくなるのが大事だと思います。

【インタビュー後記】10/9(日曜)、石川県金沢市のミニシアター、シネモンドで映画公開を記念した舞台挨拶があり、「ムスリム一家」の松井さんと妻のヒクマさん、「バンライファー」の中川さんと娘のユイちゃん(関連記事:「裸のムラ」が描く車中泊一家に流れる忖度の空気)も壇上に参加した。出演者が映画を観られるのはこの日が初めてとのこと。中川さんは数日前のツイッターで「内容次第で監督にクレーム入れるかもなぁ~笑」と書き込みをしたりと、思うところはあったのだろうが、当日はそれぞれ愚痴を口にしながらも満席の会場から笑いが起きるなど和やかに終わったようだ。取材する側の姿勢と、受ける市井の家族との距離の取り方をあらわしていたように感じた。

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