不正絶えぬ政務活動費、ランキングで見る緩い実態 私的な旅行や飲食に使う例が後を絶たない背景
全国市民オンブズマン連絡会議の「政務活動費 情報公開度ランキング」は、全国の47都道府県、20政令市、62中核市の計129議会を対象として、情報公開度を100点満点で評価したものだ。採点基準は、開示される情報の種類のほか、「住民がどれだけ政務活動費の情報にアクセスしやすいか」を重視して作成されている。
以下、各項目の評価基準と配点を見ておこう。
② 会計帳簿=20点(ネットですべて公開は10点、CDなどで公開は3点など)
③ 活動報告書=20点(ネット公開は10点など)
④ 視察報告書=20点(ネットですべて公開は10点、県外・海外の視察など一部をネットで公開は3点など)
⑤ 運用指針など具体的な支出基準を記載したマニュアルの作成、ネット公開=10点(作成していれば5点、ネット公開されていれば5点など)
政務活動費を正当に使ったことを示す「領収書」、調査に赴いたことを示す「視察報告書」などはPDFなどの電子データに変換し、ネットで公開可能だ。しかし、現物の“紙”でしか公開していないケースに加点は0点。また、領収書については「議員が黒塗りして提出」「領収書の閲覧には情報開示請求が必要」「支払先が個人の場合は個人名非公開」といったケースも0点とされている。
採点基準の①~⑤を合算したものが、各地方議会の情報公開度ということになる。全国市民オンブズマン連絡会議が9月下旬に鳥取県で開いた全国大会では、最新の2022年ランキングが公開された。それの上位と下位のランキングを見ていこう(全体の調査結果は記事の末尾で掲載する)。
大都市圏の議会は上位、最下位は岡山県
まずは、都道府県である。
(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
都道府県の情報公開度1位は、兵庫県と奈良県が同点で並んだ。京都府、大阪府、東京都といった大都市圏の議会が上位に位置している。
他方、最下位は岡山県。そのほか、福島、和歌山、栃木、香川の各県は評点の合計が20点にも満たない状態だった。
先述したように、このランキングは「住民がどれだけ政務活動費の情報にアクセスしやすいか」を重視している。端的に言えば、使途が適切であることを示す「領収書」、活動の証しとなる「活動報告書」「視察報告書」といった資料をネットで誰でも閲覧できるかどうかが大きなポイントだ。
ネット全盛の現代において、領収書を見るために議会事務局に足を運んだり、情報開示請求をしたりしなければならないとしたら、とても市民に開かれたとはいえない。
そうした観点で上の表を眺めると、ランキング下位の都道府県議会は「領収書」「会計帳簿」「活動報告書」「視察報告書」という重要書類が軒並みネット公開されていないことがわかる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら