部署内婚約で「異動」に…そんなのアリ? 夫婦と職場が受ける「不利益のバランス」とは

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「従業員にとって大きな不利益がない異動となると、非常に悩ましいですね。会社は正当な人事権を有しています。そして、適切な異動人事は、当然許されています。しかも、同じ部署内に夫婦がいるとなると、多少なりともほかの従業員に影響が出ます。

そうなると、会社が一方的に異動を通告することは問題になりません。その前に、その夫婦が受ける不利益と、周囲の従業員が受ける不利益の問題を、天秤にかけなければなりません」

ただ、今回のケースでは、部内婚の異動についての規定があるわけではないようだ。これをどう考えるべきだろうか。

どの部署に変わるのかが最大のポイント

「部内婚の異動の規定がないことが人事権の裁量の範囲を超えているといえる場合、手続違反を理由にして、そのような異動は認められないという結論もありえるでしょう。

しかし、技術職で入社しているとはいえ、雇用契約で異動先に制限がないことは、従業員としても理解していたはずです。つまり、手続的な側面においても、どちらか一方だけに非があるというわけではなく、そのバランスの問題に落ち着きそうです」

同じ異動といっても、今回は、職種までが変わってしまう。働く者にとって、この影響は大きい気がするが……。

「今回の相談事例は、技術職からどの部署に変更になり、職種がどのように変わってしまうかが、最も大きなポイントになりそうです。

詳細な事実関係を確認しなければ確定的な回答はできませんが、一般論としては、極めて懲罰的な人事でないかぎり、ほかの従業員への影響を優先して相当な部署へ異動させることには、正当性があるように感じます」

鈴木弁護士はこのように話していた。

鈴木 謙吾(すずき・けんご)弁護士
慶應義塾大学法科大学院教員。東京弁護士会所属。
事務所名:鈴木謙吾法律事務所
 
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