上野アメ横「アヒルの首の肉」売る店が増殖中の訳 ガチ中華料理の滷味、ビールとの相性も抜群

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アヒルの首(鸭脖)や鶏脚(鸡爪)などは不気味な見た目をしており、敬遠してしまいそうだが、八角やフェンネル、シナモン、唐辛子、花椒などの香辛料をたっぷり使って煮込まれた肉にかじりつくと、ついついビールが進んでしまう最強のおつまみになる。

アメ横でも滷味を売る店の前を通ると、お酒のつまみにアヒルの首肉にかじりついている人を見かける。

近年、都内や周辺地域では滷味以外にも、中国現地で食べられるような、いわゆるガチ中華料理店が増えている。こういった店が増えている原因として、コロナ禍で閉店した飲食店の跡地に中国人がコロナ禍をチャンスと捉え店を出していることが挙げられる。

調理が楽で原価も安い

その中で滷味が増えている理由として挙げられるのが調理の簡単さと、原価の安さ、日持ちの良さである。

滷味は何種類ものスパイスや醤油、酒、砂糖などを一緒に煮出した「滷水」で豚足やアヒルのモツなどを煮て作られる。もちろん素材の善し悪しや、スパイスや調味料の配合によって味はかなり変わるので、店によって味の差は出やすいが、作り方としては単純だ。

最近上野で中華料理店を開いたあるオーナーは「滷味は作り方が簡単だから参入障壁が低いと思います。私も店をやるにあたり、最初は滷味の店を開くことも考えました」と話す。

さらに滷味で使われる具材はアヒルの首肉、豚足、鶏のつま先など単価が他の肉の部位に比べると安い。牛肉や羊肉などを使って作る料理より原価を抑えられることも、お店のメニューとして滷味が選ばれる大きな理由だろう。

保存期間が他の料理に比べて長いことも、店を経営するにあたっては大きなメリットだ。前出の東北王燻醤の店員に賞味期限を聞いてみると冷蔵庫で保存すれば1週間くらいは日持ちするそうだ。

一度作ってしまえば店頭に並べて置くだけでよく、客からの注文を受けて都度料理を作る必要もない。アメ横のように軽く飲むことを目的にした客が多いエリアでは、食べやすい大きさに切るだけで提供でき、お酒のつまみにもってこいの味なので相性がいいのだろう。

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