警官を取り囲み袋叩き「イラン反体制デモ」の壮絶 22歳女性が拘束され死亡した事件が引き金に
目撃者の話やネット上で拡散している映像によると、警察はデモ参加者を地面に押し倒して警棒で殴ったり、デモ隊に向けて発砲したり、催涙ガスを発射したりしている。
アミニさんの死は世界的に注目され、イランの女性に対する制限や暴力的な扱い、そして反対派に対する抑圧的な取り締まりを象徴する存在となった。
イラン当局はアミニさんの死因は心臓発作だとし、留置所に連行されるときに頭部を殴打されたという疑惑を否定している。これに対しアミニさんの家族は複数の報道機関に、逮捕時には健康だった、と話している。
煮えたぎる国民の怒り
アナリストや人権専門家によると、現在イランを覆っている反政府デモは、近年でもとりわけ大胆なものの1つだ。
ニューヨークの非営利団体、イラン人権センター(CHRI)の広報責任者、ジャスミン・ラムゼイ氏は「人々の怒りが手に取るようにわかる」と述べた。
デモのほとんどは自然発生的に起こったものであり、指導者がいるわけではないとラムゼイ氏は言った。同氏によると、抗議行動が激化しているのは、ソーシャルメディアで拡散している写真や動画によるところが大きい。
こうした写真や動画には、イランの各地で起こっている異様な光景が映し出されている。女性たちが逮捕される危険を冒して公共の場でヒジャブを脱ぎ、焼いて抗議するといった光景だ。
ある動画は、南東部の都市ケルマーンで、騒然とする群衆を前に電柱ボックスに座って髪を切る女性を映し出していた。南部のシラーズで年配の女性が治安部隊の隊員に向かって「男なら、こっちに来て私を殺してみな」と叫ぶ動画もあった。別の動画には、テヘラン市内の大学構内に集まった学生たちが「殺人につぐ殺人、道徳警察は地獄に落ちろ!」とシュプレヒコールを上げる様子が映っていた。