ライバルが手を結ぶ「自販機」の厳しい運営の実情 ダイドーとアサヒが新会社設立し事業効率化へ

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隣接して設置されているダイドーとアサヒの自販機
隣り合って設置されているダイドードリンコとアサヒ飲料の自販機。今後、両社の自販機の一部が新会社の下で運営される(記者撮影)

「業界内でのプレゼンスを高めて、確固たる優位性を確立したい」

ダイドードリンコとアサヒ飲料は9月15日、自動販売機事業に関する包括的業務提携を結んだことを発表した。会見でダイドーの中島孝徳社長は、提携を通じて自販機の厳しい市場環境に立ち向かう姿勢を明確にした。

飲料業界においてメーカー同士の業務提携自体は珍しい話ではない。例えば自販機でも、ダイドーはアサヒやキリンビバレッジと、アサヒも伊藤園と、以前から一部商品の相互販売を行っている。

しかし今回は従来の提携と比べ、一歩踏み込んだ内容となっている。目玉は、自販機にかかわる業務を担う新会社の設立だ。ダイドーが66.6%、アサヒが33.4%出資する「ダイナミックベンディングネットワーク」を2023年1月に立ち上げる。

その傘下に、両社の子会社である自販機運営会社が3社ずつ入る。これにより、ダイドーの自販機27万台のうち13万台と、アサヒの26万台のうち7万台の計約20万台が、新会社の下で運営されることとなる。

自販機の固定費増加に苦しんでいた

自販機の売り上げは従来、コンビニエンスストアなどとの競争によって減少傾向にあった。飲料市場全体の出荷数量は2011年~2021年の10年間で3%弱成長したのに対し、自販機での売り上げは約25%も減少している(飲料総研調べ)。

しかし同期間で自販機の台数は11%しか減少しておらず、1台あたりの売り上げが大きく落ち込んでいると推測できる。その中で人件費や輸送コストなど、固定費の負担が増している状況にあった。

そこへコロナ禍が追い打ちをかけた。人出が減少し、行楽地や交通ターミナルでの需要が減っただけではない。安定した売り上げが見込めるとして各社が近年力を入れていたオフィスの自販機も、在宅勤務の浸透で打撃を受けた。

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