白ビール「ヒューガルデン」最近よく見かけるワケ ステンレス樽からPETへの置き換えも実施

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「日本のビール市場は近年、プレミアム化の傾向があるほか、酒税法改正でビールが減税、発泡酒や第3のビールが増税したことにより、ビールの成長が見込まれる。当社は設立以来、日本にプレミアムビール市場をつくることをミッションとし力を入れているところ。そこへコロナ禍の家庭需要の高まりがある。とくに『いつもと違うもの』『プレミアムなもの』への嗜好がアップしており。市場が当社の方針に合ってきたと感じている」(平松氏)

ビアガーデンのメニューにも並ぶ「ヒューガルデン ポテトチップス」は米澤文雄シェフとのコラボによるクラウドファンディング限定の商品で、市販では入手できないもの。ヒューガルデンと相性のよい、スパイシーな味わいに仕上げてある(撮影:尾形文繁)

ABIが取り扱う各ブランドのイメージを列挙するなら、ヒューガルデンは心地よい緑に囲まれた都会のオアシスで、食事とともに楽しむビールとしての位置づけだ。コロナビールは太陽や海と関係づけられる。秋にビアガーデンを開催するのは、食欲の秋との結びつきを狙ったほか、夏にプロモーションを行うことが多い、コロナビールとの棲み分けのためだそうだ。

誰もが知るバドワイザーはパーティーシーンのイメージだ。ただ、これまでによく知られたバドワイザーのイメージとは大きく変わってきているかもしれない。

最近では若者に人気のグラフィックアーティストVERDY(ヴェルディ)とコラボした商品を発売するなど、若者の取り込みに力を入れている。

2022年4〜6月に行われたコラボ缶キャンペーンでは狙いが的中し、品薄状態となった。

ヒューガルデンに話を戻すと、日本法人による取り扱いを始めて以降、こうしたブランド戦略も功を奏してか、業績は上昇傾向で来ていたそうだ。

生樽がステンレス製からPET製へ

飲食店向け、家庭向けが5対5の比率で売れていたが、コロナ禍では飲食店の営業に制限があったことも相まって、缶タイプの家庭需要が増加した。現在は飲食店の需要が元に戻りつつあるそうだ。

また日本法人設立以後はその他の点でも変化があった。

ABIが開発したPET製の生ビール樽(撮影:尾形文繁)

飲食店向けについては、生樽の技術革新でよりおいしい生ビールが飲める可能性が高まっている。従来のステンレス製からPET製へと置き換わっているのだそうだ。この生樽ではビールが絞り出されると同時にボトルが空気圧で圧縮され、中身のビールが空気に触れるのを防ぐ。これにより、樽に詰めてから7〜10日目程度の鮮度を開栓後最大30日間保つのだという。

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