白ビール「ヒューガルデン」最近よく見かけるワケ ステンレス樽からPETへの置き換えも実施

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ベルギー名物のムール貝のワイン蒸しやフライドポテトのほか、スパイシースペアリブ(3500円)、「コリアンダー焼きそば」(1300円)などもそろう。アジアのメニューを提供する理由を不思議に思ったが、単なる流行とは別の理由があった。

ヒューガルデン1杯とおつまみ2種の「ヒューガルデン アペロセット」(1300円)はちょい飲みにもよい。写真は「ラタトゥイユ」+「豚と鶏肉のテリーヌ」のアペロ2種盛り(撮影:尾形文繁)

ホワイト・ビールは、ビールの主原料である小麦、大麦麦芽、ホップ、水などのほかに、副原料としてオレンジピール、コリアンダーシードを加えて製造する。そのため、オレンジピールやコリアンダーシードを用いた料理との相性がよいのだという。ビアガーデンに欠かせない枝豆でさえ、オレンジピールをまぶしたしゃれたメニューとなっている。

ブランド戦略における料理の役割

ヒューガルデンが今回のビアガーデンでこのように料理に力を入れるのも、ブランド戦略において料理が重要な役割を果たすからだ。製造販売元であるアンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン(ABIジャパン)でヒューガルデンなどのブランドを担当する平松直子氏は、「ヒューガルデンは食事に合うビールというイメージを打ち出している」と説明する。

さまざまなイベントが開催できなくなったコロナ禍でも、インスタライブでクッキングの企画をいち早く展開するなどし、ヒューガルデンファンの掘り起こしを行った。

「ライブの同時試聴が1000〜1500人程度あったほか、インスタのフォロワー数も2000以上アップした」(平松氏)などの効果があったそうだ。

「スパイシースペアリブ」(3500円)、「オレンジマスカルポーネ」+「オレンジゼスト」のアペロ2種盛り、「真鮹のフリット」(700円)。見た目はワイルドな「スパイシースペアリブ」だが、やわらかく仕上がっており、食べやすい。オレンジ風味のソースで、ヒューガルデンとも好相性(撮影:尾形文繁)

このように、ヒューガルデンがブランドイメージをはっきりと打ち出すのには理由がある。製造販売元のABIは世界でもトップに数えられるビール会社だ。150カ国以上にわたり、500ブランド以上のビールを提供している。2015年に日本法人を設立してから、それまでに国内ビールメーカーに委託していた製造や販売を自社での取り扱いに切り換えた。現在までにコロナビール、グースアイランド、バドワイザーなど6ブランドを展開しているが、それぞれのブランドにおいて、メーカーとしてより鮮明なイメージを訴求する必要があるのだ。

また、日本市場への期待の大きさを示すものでもある。

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