そう、彼は今、保護司として、非行少年や非行少女と向き合っているのだ。経歴的に、これほど信頼できる保護司もなかなかいないだろう。
奨学金制度で人生をやり直すチャンスをもらえた
まるで、ドラマかと思うようなサクセスストーリーだが、藤岡さん本人としては、ほんの少しのボタンのかけ違いで、人生は大きく変わっていたと思っているようだ。
「やっぱり、新聞奨学生や日本育英会(現・日本学生支援機構)の奨学金の影響が大きいですね。ここで人生をやり直すことができたと思います。
新聞奨学生制度は過酷な労働環境から、今でも奴隷労働などと言われて語り継がれていますが、私はこの制度のおかげで人生をやり直すチャンスをもらえたんですよね」
奨学金を借りたことで、更生し、60代手前の今では、非行少年たちを更生させるためのサポートに回るようになった。だからこそ、奨学金に対しては「自己投資の一種だ」という考え方が強いという。
「先のことは誰にもわかりません。でも、わからないからこそ、自分に投資する価値があると思うのなら、勝負してみるのはいいことだと思うんです。私自身、『新聞奨学生なら自分にもできる』という希望が湧いたことが最初の一歩になり、今までやってこれました。
だから、もし夢や目標があるなら、若い人には『借金』という言葉を恐れずに一歩を踏み出してほしいです。幸い、奨学金制度は安いコストで投資資金を貸してくれますしね」
奨学金を借りたことで、非行や絶望から脱した藤岡さん。自分で自分の将来を諦めないことの大切さを訴えるその言葉は、軽やかな口調ながらも、筆者にはそうとう重く感じられた。
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