「若者で賑わう熱海」人気スポットと廃墟の光と影 駅ビルに脚光も、商店街はシャッターが下りる

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注目は「熱海パールスターホテル」の開業だ。お宮の松前の一等地にかつて老舗の「つるやホテル」があった。しかし、運営会社がバブル崩壊により業績が悪化し、2001年11月に閉館し、長らく廃墟状態となり、観光業不振のシンボル的存在となってしまった。

その後、2007年に商業施設建設が始まり、「aune熱海(あうね熱海)」として大半が完成したものの運営会社が2009年5月に会社更生法を適用したため開業に至らず、また建物は放置された。

2018年になって中国系のリゾート会社が不動産を取得し、2019年5月開業を目指し、ホテルとして全面改修を進めていたが、数度にわたり開業を延期し、ようやく、今年の9月26日に開業となった。1泊朝食付き2人部屋で1人4万円程度からという高額の料金設定になっている。

熱海パールスターホテル
9月26日に開業した熱海パールスターホテル。隣でもホテルが建設中(筆者撮影)

地元から反対の声も

開業計画が中止になったケースもある。東急不動産が熱海港の市所有駐車場となっている土地を借り受けて会員制ホテルを建設する計画をしていたが、2020年7月に取り下げを発表した。その理由について同社はコロナ禍の影響としたが、会員制ホテルをこの地に建てることに反対の声もあったようだ。

同地は、熱海後楽園ホテルに近い、海と市内の街並みが眺望できる一等地で、市から「52年間の一般定期借地権で借り受け、年間2400万円の賃料を支払う」という条件で、地上6階建・客室約180室のホテル建設を計画した。

しかし、旅館業の組合などから、建設予定地が熱海海上花火大会の打ち上げ場所に近いことから、今と同じ規模の花火を打ち上げるのは不可能になるという指摘や、ホテル会員という限られた利用者のために長期にわたって市有地を使用させるのはおかしいといった声があった。そうした反対の声とコロナ禍で見通せない経済状況の中での計画白紙となった。

熱海
東急が会員制ホテルを計画した駐車場。土石流直後は自衛隊の宿営地になった(写真:筆者撮影)
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