「若者で賑わう熱海」人気スポットと廃墟の光と影 駅ビルに脚光も、商店街はシャッターが下りる
首都圏から近く、旅行気分を映像で伝えるのには適地であることと相まってテレビ番組で熱海が取り上げられることが多くなっているのだろう。それが呼び水となって、さらなる観光客を呼んでいることは間違いない。
しかし、熱海市内全体を見回してみると、若者であふれているのはそうした番組で取り上げられている場所が多く、全体としては元気がない街のように感じる。シャッター通りと化した商店街、廃墟となったかつてのホテル・旅館なども目立つ。人口の減少や住民の高齢化も深刻だ。
熱海城には「日本一短い」というロープウェイで行けるが、山頂駅には「秘宝館」(18歳未満入場不可のアダルト・ミュージアム)が兼設されているという今の感覚では驚きの年代物だ。
筆者自身、熱海に来ている若者にその理由を尋ねたところ、グルメなどを楽しんだり、人気スポットを訪れたりするのが目的で、温泉に入らずに日帰りするということをたびたび聞いた。宿泊せずに日帰りで花火を見に来る観光客も一定数いるようだ。
高齢者にとっては熱海に来て温泉に入らないというのは意外に映るが、そうした行動パターンも若者には一般的なようだ。すなわち、恋人たちのデートスポットとして熱海が選ばれているということだろう。
ホテル・旅館数や新たな建設の動きは?
2001年に133あった熱海のホテル・旅館の数は2020年には145に若干増えている。熱海には保養地として数多くの寮・保養所があるが、これは315から155と半減している。最近、会社の寮や保養所がホテル・旅館になるケースも多く、そうした動きをある程度反映していると思われるが、双方を足した総数は448から300とかなり減っている。
最近の大規模なホテル・旅館の状況を見ると、廃業するところと、開業するところが入り混じっている状態だ。大規模ホテルでは、「ホテルニューアカオ」(1973年開業、250室)が2021年11月に閉館した(関連ホテルの「ロイヤルウイング」は「HOTEL ACAO」として営業継続)。
一方、熱海後楽園ホテルは老朽化した一部施設を取り壊し、日帰り温泉施設Fuuaと商業エリアIZU-ICHIを併設した新たな宿泊棟を作り、2019 年に複合リゾート施設「熱海ベイリゾート後楽園」としてオープンした。
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