パナソニック、役員の人数を増やしたワケ ピアニストとして活躍する女性役員も誕生

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パナソニックが発表した取締役・役員人事では、ポスト津賀体制を見据えた若手抜擢に加え、BtoB事業へのシフトを意識した顔ぶれとなった(写真は津賀一宏社長、撮影:ヒラオカスタジオ)

2月27日、4月1日付の取締役・役員人事を発表したパナソニック。津賀一宏社長が2012年6月に就任してから3年目となる経営陣の顔ぶれは、ポスト津賀体制を見据えた若手抜擢と、現在進める法人向け事業(BtoB)シフトに向けた社内の融合という2点が色濃く反映された。

まず大きな変更があったのが、4つの社内カンパニーのトップ人事である。今回、白モノ家電を担当するアプライアンス(AP)社と、法人向けビジネスを担うAVCネットワークス(AVC)社の社長が同時に交代する。

進む「AV機器と白モノ家電の融合」

中でも注目されるのが、AP社の本間哲朗上席副社長の同社社長就任だ。本間氏は現在53歳。現役員の中では若手で、ポスト津賀社長の筆頭候補と言われる。

本間氏はAVC社出身。30代後半でデータの記録装置であるSDカードの標準規格の策定で頭角を現した。津賀社長の就任と同時に、本社の経営企画グループマネージャーに抜擢され、現行の中期経営計画の策定を担った。

AP社の現社長は、親分肌の高見和徳氏。高見氏は本社の副社長に昇任する。実はAP社は現在、高見氏以外の社内役員はすべてAP社出身でなく、AVC社出身者で占められる。AVC社はもともとテレビやパソコンといったAV機器を抱え、歴代社長を輩出してきた名門。しかし、テレビの低迷を機に、現在BtoB事業を担うカンパニーへと大きく変貌している。

一方でAP社も現在、事業構造を大きく変えている。2014年、テレビや音響機器といったAV機器事業をAVC社から移管。白物家電とAV機器が融合するスマート家電の時代を見据えている。そこでAVC社出身者から複数の幹部を登用しているのだ。

今回生え抜きの高見氏から本間氏にAP社の社長が交代したことで、トップも含め幹部がAVC社出身者で占められることになる。これはパナソニックが目指す、「AV機器と白モノ家電の融合」の象徴的な動きと言える。一方、本間氏の就任は、ポスト津賀を見据えた抜擢との見方もできる。AVC社とAP社の社内風土は、まったく違うと言われる。そこで本間氏が生え抜きのAP社社員をどうマネジメントしていくか、経営者としての資質を試されることになる。

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