パナソニック、4000億円社債の狙いとは?

節約路線から成長投資へのシフト鮮明に

今後「攻め」に転じることができるか(写真は津賀社長、14年10月の決算説明会)

「社債市場ではソフトバンクの動きが目立っていたが、製造業として、この金額は最近では珍しい」。ある国内証券会社のクレジットアナリストがそう驚くのが、パナソニックが2月3日、2015年3月期第3四半期(4月~12月)決算と併せて発表した、社債発行についてである。

パナソニックの第3四半期は、注力中の車載分野に加え、住宅部門の太陽電池が想定以上に堅調だったことから、現行計画を上回る水準で推移した。現行の通期計画は売上高7兆7500億円(前期比0.2%増)、営業利益3500億円(同14.7%増)。この営業利益額は2014年3月期~2016年3月期の中期計画の目標値だ。事業の好調で今期末は中計を前倒しで上回る公算が大きい。

そうした中、パナソニックは今回、上限を4000億円とする社債発行を明らかにした。発行額や利率、発行時期といった詳細は、現在詰めている段階だ。「用途は未定だが、成長投資に向けた準備をしていきたい」。決算会見で河井英明CFOは多くを語らなかったが、今回の社債発行はパナソニックの財務戦略の転換点、と見ることができる。

中期財務戦略を前倒しで達成

2012年3月期、2013年3月期と、2期連続で7000億円以上もの巨額最終赤字に陥ったパナソニック。かつて「松下銀行」と呼ばれた強固な財務体質は大きく傷つき、同社が重視するネット資金(現預金―有利子負債)は2009年3月期まで黒字だったのが、2012年3月期には約1兆円の赤字に転落。株主資本比率も2000年代半ばに50%を超えていたのが、2013年3月期には23%にまで落ち込んだ。

松下銀行復活へ――。2013年5月には中期財務戦略を公表。2016年3月期に向け、①ネット資金=マイナス2200億円以内、②株主資本比率=25%以上といった目標を設定。借金をなるべく減らし、手元資金の増加に集中する、“節約路線”を徹底させた。

東京支社が入る「東京汐留ビル」を約500億円で売却するなど、保有する不動産や金融資産を次々と売却。河井CFOが主体となり、「キャッシュフロー経営実践プロジェクト」を立ち上げ、取引先への支払期限の延長に取り組むなど、現場レベルで手元資金を積み上げていった。

その結果、2014年12月末で、ネット資金は約2400億円のプラス、株主資本比率は30%を超えるなど、財務面での中期計画も前倒しで達成。そろそろ節約路線の徹底から、次の成長フェーズへと舵を切るタイミングに差し掛かっていた。

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