米国の「株価下落ショック」はあと何回あるのか 個人投資家は日本株にもっと自信を持つべきだ
さらに、FRBがインフレ指標として注目している、変動の激しい燃料や食料を除いたコアCPI指数は前月比で+0.6%となり、7月の+0.3%を上回る予想外の展開となった。前年比で見ても+6.3%と、7月の+5.9%から拡大し、3月以来最大となった。NYダウの1200ドル超の大幅下落はこれらを嫌気しての反応だが、市場のCPIに対する神経過敏さがストレートに出た格好だ。
今年の「6月ショック」ではNYダウの下値が3万ドルを割れたが、その後も8月ショック安時は3万1000ドル台で止まった。今回の9月の下げの結果はまだ出ていない(16日現在3万0822ドル)。だが、8月のひと下げの幅を考えると、今回の下値のメドは3万ドル前後だろうか。
そんな中で、いよいよ21日には9月FOMC(連邦公開市場委員会)の結果が発表される。利上げ幅はおそらく0.75%となろうが、もし1.0%だったらNYダウはどう反応するのだろうか。ここはNY市場の耐性をしっかり見極めたい。もし一時的に下落があったとしても、下落のあとは反発している。もちろん、株の先見性の期間をどこまで見るかは、市場マインド次第だ。
日本株の強さも試されるとき
同時に、日本株の強さも試される。FOMCの結果を受けての22日の日本株は、そのあと23~25日に3連休を控える。午前はFOMCの結果を受けて始まり、午後は日本銀行の金融政策決定会合の結果が加わるという慌ただしさだ。
すでにECB(欧州中央銀行)が史上初めて0.75%の利上げに踏み切り、9月のFOMCも3度目の0.75%の利上げは確実だ。その中で、もし1.0%の利上げに踏み切ったなら、どうなるか。日銀の金融緩和政策は大枠としては変わらないまでも、引け後の黒田東彦総裁の記者会見は、いつものような会見になるのだろうか。やはり、今回の記者会見はかなり緊張感を持って見守るべきだ。
だからといって、日本株がアメリカ株に付き合う必要はないと考える。冒頭でも書いたように、物価高退治の引き締め策に四苦八苦する欧米と違い、日本はデフレ脱却政策という真逆の政策をとっており、一部のイレギュラーな価格上昇を除けは、本格的なインフレにはなおほど遠い。
しかも、企業業績は総じて順調で、今までため込んだ内部留保を、自己株消却や増配で株主に還元しようとしている。9月の日経平均株価の配当落ち予想額は225円前後であり、これは記録的な数字だ。また、単年度の利益に対する配当(配当性向)よりはるかに安定する、自己資本配当率(DOE)を配当額の目安にする企業も増えている。
現在、東証プライム市場の加重平均配当利回りは約2.5%で、アメリカの市場上位3000社のそれは約2%だ。これだけをとっても日本企業の優位性がわかるが、10年債利回り0.25%の日本と約3.4%のアメリカの金利環境を考えると、さらに圧倒的に日本企業が割安だ。
しかも、岸田政権は資産所得倍増計画に沿って、つみたてNISA(少額投資非課税制度)などを拡充しようとしているように、日本の株式市場の方向性はまったく悪くない。日本の投資家はもっと日本株に自信を持つべきだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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