米国の「株価下落ショック」はあと何回あるのか 個人投資家は日本株にもっと自信を持つべきだ

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今一度、2020年以降のNYダウを駆け足で振り返ってみよう。「わが世の春」ともいうべき「適温相場」で2020年2月に2万9551ドルの高値をつけていたNYダウは、3月の「新型コロナショック」で1万8591ドルまで急落した。

だが、共和党のトランプ政権終盤での約2兆ドルものコロナ対策費と、FRB(連邦準備制度理事会)の「2022年末までの長期金融緩和宣言」で、一気に反発へと転じた。2021年に民主党のバイデン政権に変わったあとも、1.9兆ドルの追加コロナ対策費が大きな追い風になった。NYダウはオミクロン変異株の影響を受けながらも、2022年の1月4日にはついに3万6799ドルの史上最高値をつけた。

悲観と楽観を繰り返してきた市場

しかし、その結果、物価は「手をつけられない状態」に過熱していった。しかも、2月24日に起きたロシアのウクライナ侵攻によって、資源高に拍車がかかったため、FRBは政策金利であるFF金利の誘導目標を3月、5月と連続で引き上げ、上限を1%とし、6月からは利上げだけではなく、QT(量的引き締め)も開始した。

その結果、6月8日時点で3万2910ドルだったNYダウは、3連続大陰線で3万0516ドルまで下がり、その後ついに3万ドルを割れた。これが最初のCPIショックといえるものだった。6月15日、実に27年7カ月ぶりとなった0.75%の利上げによって、市場はCPIの数字に極度に敏感な相場となった。

それでも、株式市場は根が楽観的だ。NYダウは8月16日に3万4152ドルまで戻したものの、次のショックは8月26日にやってきた。ジェローム・パウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演を理由に、相場は再び神経質な相場となった。しかし、結局は直後に4連続陽線となったように、神経質な相場に楽観論が盛り返す展開が続いた。

そして、現在は9月13日の1276ドル安という「3度目の急落」に見舞われたことで、またまた楽観論は後退。下値を探っている状態だ。今回の下げも、市場の「CPIアレルギー」を強く感じる下げだった。13日に発表された8月CPIは前年比で+8.3%と、7月の+8.5%は下回った。だが、予想の+8.1%を上回っており、引き続き高水準となっていた。

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