ドル円相場の「Wノータッチオプション」とは 次の重要イベントは3月の「あの日」
[東京 27日 ロイター] - 外為市場の一角で、ドル円の「ダブルノータッチオプション」と呼ばれるオプション取引が観測されている。一定期間中に想定レンジを一度も外れなければ利益を得られる仕組みで、背景には、目先、こう着相場が続くとの「読み」がある。
ドル円はイベントや株高にも反応が鈍くなっており、3月6日発表の2月米雇用統計後も方向感は出ないとの声も多い。
「ダブルノータッチオプション」は、レートが一定期間中に特定の2つのレート(レンジの上限・下限の価格)いずれかに到達するかどうかを賭けるもので、1度もタッチしなかった場合に利益を得られる。
ドル/円は、1月半ばから概ね117─120円のレンジにはまり込んでいる。24─25日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言後も、方向性は出なかった。
ギリシャ支援協議をめぐるリスクもいったん落ち着き、1カ月物のドル円インプライドボラティリティは、それまでの10%前後から一時8%割れの水準まで低下。突発的なニュースがない限り、ボラティリティはここから上がりにくいとの見方も出てきた。
ある国内金融機関の為替ディーラーは「1カ月くらいは116円と121円を触らないだろうというダブルノータッチオプションを設定し、3カ月物の行使価格124円とか125円のドルコールを買うというのが流行っている」と話す。
ドル/円は、少なくても向こう1カ月はレンジ相場が続き、その後、米国の利上げなどを想定したドル高が始まるという「読み」をしている向きがあるというわけだ。
3月6日の米雇用統計に注目
市場参加者の視線は、3月6日発表の2月米雇用統計に向いている。1月までの3カ月間で非農業部門雇用者数は100万人増加。2月も強ければ、早期の利上げ観測が強まる可能性もある。
非農業部門雇用者数や失業率は底堅い結果になるとみられているが、市場では「問題は平均賃金。比較的低い伸びにとどまるとみられており、利上げ前倒しを想起する結果にはなりにくいのではないか。ドル買いは限定的かもしれない」(信託銀行)との声も出始めている。
ソシエテ・ジェネラル銀行の為替資金営業部長、鈴木恭輔氏は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文から「忍耐強く」の文言が削除されるとの思惑が広がり、3月半ばにかけていったんドル買いの流れが強まるとみている。ただ、米国サイドからドル高けん制も出始めていることを考えると上値は伸ばし切れず「3月末までのドル/円のレンジは、118.00─120.50円とみている」という。
(杉山健太郎 :編集 伊賀大記)
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