北米専用「CX-50」現地で確かめたCX-5との違い 2.5Lエンジンに全幅1900mm超のおおらかなSUV

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現地の人が納得する加速を実現するには、少なくとも2.5リッターの排気量が必要で、できればターボもほしいというわけだ。

3つめは、ハンドリングと乗り味。現地ではオールシーズンタイヤを新車装着されるため、それに合わせて味付けされている。日本向けのマツダ車に比べると、ハンドリングはおおらかな印象だ。一方で、フリーウェイを時速70マイル(時速112キロ)程度でクルーズしていると、乗り心地の良さを実感する。それが北米向けの味付けなのだ。

アメリカの道に合わせた味付けとされていることがよくわかった
アメリカの道に合わせた味付けとされていることがよくわかった(筆者撮影)

クルマ好きの筆者としてなにより印象的だったのは、とにもかくにもデザインの魅力。文句なしにストライクだった。

「色の白いは七難隠す」ではないが、ワイド&ローのプロポーションの良さが見た目に与える影響は大きく、さらにキャビンの幅に対してフェンダーがグッと張り出していて安定感あるスタイルを実現。ワイドな全幅を活用したフェンダーの張り出しが、CX-50のカッコよさを完成させている。

ボリューム感のあるフェンダーの造形(
ボリューム感のあるフェンダーの造形(筆者撮影)

マツダ車だけどアメリカナイズされたクルマ。そんなCX-50にマツダが課した役割は、北米においてCX-5に代わる人気車種となることだ

いま、CX-5は北米市場でマツダの代表車種となっており、販売台数でも同社のナンバーワンを誇る。2021年には約17万台を販売したが、これはマツダの北米販売の約5割にも相当するほどだ。

しかしながら、CX-5は当分モデルチェンジの予定がない。しばらくはCX-5とCX-50を併売しつつ、少しずつ販売の軸足をCX-50に向けていく戦略と思われる。

もしも、日本に導入したら

そんなCX-50を日本で売ったらどうだろうか。

見た目の良さゆえに、ある程度の販売は見込めそうに思えるが、最大のネックはやはり全幅だろう。CX-60の1890mmでも「車幅が広すぎる」と言われ、その全幅のせいで「自宅の駐車場環境を選ぶクルマ」とまで言われているのに、それを超える1920mmは日本では厳しすぎるだろう。

とはいえ、都市部でそれなりに見かけるポルシェ「マカン」とほぼ同じ車体サイズと考えれば、爆発的なヒットとはいかなくても、ある程度受け入れられる可能性は考えられる。

マツダ自身が「弊社のクルマ作りは万人ウケではなく、こだわりを持つ少数の人に『これがいい』と選んでもらえるような立ち位置」といっているのだから、ワイドな全幅が一般的な日本人には受け入れられないであろうCX-50も、ある意味マツダらしいクルマになりうるのかもしれない。いずれにせよ、CX-50は「全幅」がキーワードとなるクルマである。

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工藤 貴宏 自動車ライター

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くどう たかひろ / Takahiro Kudo

1976年長野県生まれ。大学在学中の自動車雑誌編集部アルバイトを経て、1998年に月刊新車誌の編集部員へ。その後、編集プロダクションや電機メーカー勤務を経て、2005年からフリーランスの自動車ライターとして独立。新車紹介を中心に使い勝手やバイヤーズガイド、国内外のモーターショー取材など広く雑誌やWEBに寄稿する。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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