北米専用「CX-50」現地で確かめたCX-5との違い 2.5Lエンジンに全幅1900mm超のおおらかなSUV

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2022年7月はじめに開所式が行われたばかりの現時点ではまだフル操業ではないが、徐々にペースを上げ、2022年末には生産キャパシティであるトヨタ:15万台/年、マツダ:15万台/年のフル生産を目指している。

マツダとトヨタのジョイント工場とはいえ、両社のクルマが同じラインに混流するわけではなく、それぞれの生産ラインが並走する形とされた。しかし、塗装など一部の工程では同じ設備を用いて、合理化が図られている。

何を隠そう、この工場はトランプ元大統領と無関係ではない。トランプ氏が大統領に就任し「製品はアメリカ国内で作れ」とメーカーへ繰り返し迫った。トヨタとマツダのアメリカ新工場計画が発表されたタイミングは、トランプ政権が誕生した1年後。その検討段階において、トランプ氏の意向が反映されたと考えるのは当然だろう。

「CX-50」のインテリア。縦に設置された吹き出し口が印象的だ
「CX-50」のインテリア。縦に設置された吹き出し口が印象的だ(筆者撮影)

アメリカ国内に工場を持つトヨタはともかく、マツダは当時、アメリカ内での自動車生産から撤退しており、日本からの輸出のほか2014年にメキシコに建設した工場から北米自由貿易協定(NAFTA)を活用して、北米へクルマを輸出していた。メキシコからの工業製品の輸入を快く思わないトランプ氏に対し、何らかのアクションを起こす必要があったことは想像にかたくない。

その結果、トヨタとの共同という形ではあるが、両社合計で23億ドル(約3300億円)という巨額を投じて、新工場をアメリカ国内に作ったというわけだ。マツダは2012年に生産を撤退して以来、10年ぶりのアメリカ国内工場となる。

同工場は4000人ほどの雇用を予定しているが、コロナ禍を経て半導体不足と人手不足が深刻となったことは、予想外だったに違いない。

いずれにせよ、CX-50はクルマとしても興味深く、マツダにとっても大きな意味を持つモデルだ。そんなCX-50に触れ、自分でハンドルを握って運転するため、筆者はアメリカへ出かけてきた。

北米専用車らしい3つのポイント

実車に触れて感じた、北米専用車らしい点は3つあった。まずは、そのサイズだ。

前出のように、1920mmという車幅は日本向けでは考えられない、北米らしいおおらかなパッケージングだ。日本では間違いなく持て余す大きさだが、現地ではまったく気にならなかった。

ナンバープレートが小さく見えることからも、車体のサイズ感がわかる
ナンバープレートが小さく見えることからも、車体のサイズ感がわかる(筆者撮影)

2つめのポイントは、エンジン排気量にある。日本の“兄弟”より大きいのは、現地で力強いトルクを求められるからに他ならない。たとえば、信号が青になったときのダッシュは日本よりも勢いがいいし、高速道路(フリーウェイ)の合流では一気に本線の速度まで加速する力が求められる。

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