「クリスピークリーム」がコロナを機に好調のワケ 大量閉店から5年、同社に訪れた「ある変化」
SNS拡散にも効果的な限定メニュー
また今回オープンした東京国際フォーラム店では、オリジナル・グレーズドをアレンジした限定メニューを4種、ドーナツの味に合わせたドリンクを2種新発売した。
目玉とも言えるのが、「クリスピー・クリーム・プレミアム 東京 メルティング ストロベリー マウンテン」と名称もゴージャスな商品。周囲のフィルムを外すとクリームが一気にとろけ、ドーナツをとろりと覆う。実はこうしたスイーツは数年前から流行している。シズル感あふれる動画を撮影できるため、SNS拡散にも効果的だ。
見るからに甘そうなスイーツだが、マスカルポーネチーズをミックスしたイチゴアイス、フローズンイチゴ果肉などを用い、酸味によって味を引き締めている。
「マッケンチーズ」はオリジナルグレーズドにマカロニ&チーズグラタンを挟んだ、アメリカンなドーナツ。食事系のドーナツと思いきや、実はベーコンやチーズの塩辛さで甘味が引き立てられ、より一層甘く感じられる。真のスイーツ好きにおすすめの一品だ。
同店のショーケースにはもちろん、オリジナル・グレーズド以外の商品も色とりどりに並び、スイーツ店としての華やかさ、楽しさを演出している。若月氏によると、同社では1カ月半ごとに新商品を発売し、常時16〜18種類を店頭に並べる方針だそうだ。またハロウィン、クリスマスなど、季節ごとに期間限定商品を発売している。こうした商品においてこだわっているのが「おいしさはもちろん、見た目の楽しさ」だそうだ。
「容器がダズンボックスといって平置きなので、蓋を開けると『ワオ!』と声が出るような、驚き、楽しさが重要」(若月氏)
味については、「甘すぎる」という意見も取り入れ、味わいや素材を日本風にアレンジした商品もあるそうだ。また2016年、まさに大量閉店の年に発売した「ブリュレ・グレーズド」は、同じ甘さでも、食感や風味を工夫して味わいに立体感を持たせることで日本人の好みに合わせた商品。こちらはその後本社にも評価され、グローバルのメニューとして組み込まれたという。
以上のとおり見てくると、同社のこれまでの軌跡は、アメリカのブランドを日本の消費者に紹介した2016年まで、日本の市場に合わせてアレンジしたそれ以後、と分けられるように感じられる。進めてきたさまざまな変革がコロナの社会情勢にマッチして黒字に転じた今、同社はまた新たなスタート地点に立っているようだ。
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