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イオンモールが全国制覇を成し遂げた戦略の秘密 「エコシステムの革新」はデジタルのみにあらず

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  • 中川 功一 経営学者、やさしいビジネスラボ代表取締役
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自前ですべてそろえ切ることはもとより困難であるとの認識のうえで、「餅は餅屋」の発想で、優れたパートナーを招き、企業連合としての価値提案を行う──。

であるならば、あなたの会社の規模の大小、リソースの大小を、この戦略は問わない。あなたの会社が相対している顧客を念頭に、より顧客のためになれるサービスを、他社のリソース協力によって提案すればよいのである。

戦略の起点は顧客

この戦略を構想する際の起点は、つねに顧客である。顧客の観察、顧客への深い洞察の中から、顧客の課題が真に解決している状態、顧客のあるべき姿を描く。単独の製品・サービスとしては実現できないその姿を、企業連合を作って、かなえてあげる。それが、エコシステム・ディスラプション戦略の本質である。

たとえば、町のバイク店が、顧客のニーズに合わせて、サードパーティーの部品と取付加工業者と一緒にカスタムバイクを販売することも、エコシステム・ディスラプションである。インドではこの形式が一般化しているが、顧客ニーズをよく聞き、企業連合でそれに応えることで、単独の店舗ではできない価値が実現できるようになっている例である。

町の学生食堂がジュースを1本セットで付けるのだってエコシステム・ディスラプションであるし、過疎地域の郵便事業者が移動小売店と見守りサービスを兼ねるのだってよい。

コンデンサやフィルタ、磁気デバイスなどの単独部品を作っていた会社が、顧客の要望に応えるために、他社部品をも組み合わせて複合部品で提案することもエコシステム・ディスラプション戦略だといえる。かつて零細企業であった村田製作所やTDKがグローバルで成功したのは、まさにこの戦略によってである。

このように見てみると、エコシステム・ディスラプション戦略は、かなり広範に産業社会のなかで見られる戦略であり、適用範囲の広い考え方だといえるだろう。昔からあった発想であるともいえるが、このように概念定義されたことによって、私たちはその戦略の有効性を再認識させられることになったのである。

「イオンモールのように、顧客に価値を提案する」。この考え方は、なかなかに有用なのではないだろうか。

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