イオンモールが全国制覇を成し遂げた戦略の秘密 「エコシステムの革新」はデジタルのみにあらず

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かつて、産業競争を覆したのは、価値観を転換するような、製品・サービス単独での「ディスラプティブ・イノベーション」だった。今日、静かに進行している産業競争の変化は、業界の垣根が取り払われたことによる、「エコシステム・ディスラプション」によって、もたらされようとしているのである。

もう、おわかりだろう。イオンモールが、なぜこれほどの圧倒的競争力をもって、既存の小売りを押しのけ、業界の雄となったのか。イオンモールは、小売業におけるエコシステム・ディスラプション戦略だったのだ。

顧客の「楽しいショッピング」という体験を最大限に広い視野で捉え、顧客がそこで求めるもの一切をまとめて、総合的に提案する。エコシステムとして提案するイオンモールに対し、「百貨店」や「ファッションビル」のような単独店舗が、どれだけ非連続的な(ディスラプティブ)イノベーションで対抗しても、なかなかに勝ち筋を描くことは難しい。

可能なる「エコシステム・ディスラプション戦略」

このイオンの成功事例を、そしてエコシステム・ディスラプション戦略の論理を、自分たちのビジネスに、私たちはどう活用することができるだろうか。

そのヒントは、イオンモールの事例や、写真の事例などを、よくよく観察していくと見えてくる。お気づきだろうか? いずれの事例も、「企業連合で提案している」ことがその特徴なのである。

イオンモールを構成している小売業者や各種サービスの多くは、協力企業である。アパレルのテナントとして、ファーストリテイリング、オンワード、ワールド、アダストリアなどが軒を連ねているし、飲食店としてもスターバックスや有名ファストフードが入っている。

書店やスポーツショップも同様だ。すべてを自分でそろえようとはせず、企業連合として、顧客が求めるものを総合提案している。

写真の事例も同様だ。今やカメラとしての性能こそが売れ行きを左右するスマートフォンメーカーは、クラウド保存サービス、編集アプリ、SNSと上手に連携しながら、撮影端末としての価値をアピールする。やはり、すべてを自社で全部やり切ろうとはしていない。

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