今回の試乗に際して、筆者は比較のためマツダから事前にCX-8の最新モデルを借りて3日間にわたり関東圏内を走行していた。
パッケージングを見れば、CX-8は全グレードが3列シートでCX-60は2列シートだから、本来比較すべきは2列シートのCX-5であり、3列シート車として後に登場予定の「CX-80」に乗る機会を待つべきだったかもしれない。
だが、CX-8はマツダが日本国内で販売する最上級車で、重量がCX-60に近いこともあり、CX-5ではなくあえてCX-8の4WDを比較対象として選んだ。しかし、CX-60を試乗したあとCX-8に乗ると、車重は近くても動きが“ゆっさり”していると感じる。
パワートレインの違いはどう感じたか?
コーナリングである程度までロールすると、車体本来の良さが発揮され、走行ラインを心地よくトレースできる一方で、ステアリングを切る角度が少ない場合、クルマ全体の重さを“ゆっさり”した感じでドライバーや乗車員に伝えてくるのだ。乗ってみてわかった、もっとも大きな違いがここにある。
また、パワートレインの差も明らかだった。CX-8は4気筒2.2リッターのディーゼル、CX-60は6気筒3.3リッターディーゼル+マイルドハイブリッドと、スペックからCX-60のパワフルさが想像されるが、パワートレインで印象的なのはパワー感よりも相性のほうだ。2.2リッターが非力と感じるのではなく、3.3リッターとCX-60との相性の良さが際立つのである。
もう1つ、CX-60とCX-8の大きな違いとして感じたのが、運転席からの外の見え方だ。ボンネットの高さはCX-60のほうがCX-8より高いのだが、CX-60はウエストライン(窓の下端)が低く、CX-8よりも圧倒的に見晴らしがよく、またボディ先端の見切りも良い。そのため、一般道でも安心感が高い。
CX-60は、軽快で張りがある走りと見切りの良さによって、いわゆる“手の内感”があるから“疲れないクルマ”に感じるのだと思う。
インテリアの造形や加飾は、シンプルなイメージのCX-8に比べてCX-60はかなりゴージャスになったが、クルマ全体の“張りの良さ”があることで、車内造形が浮ついたように感じず、実にしっくりくる。
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