平成後期の歌姫「西野カナ」今も心を掴むその凄み 口ずさみたい歌詞やファッション等大きな影響

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西野カナ自身が「リアリティーのある曲」を意識して作詞していたこともあり、これらのヒット曲は私たちの生活にスッと入り込んでいた。それは単純に曲がヒットしたというだけでなく、西野カナが持つ、誰もが共感できる「親近感」も含めて、楽曲が愛されているということだろう。

また西野カナがメジャーデビューした2008年から、活動休止に入った2019年はちょうどガラケーとスマートフォンの切り替わりの時代だった。

西野カナは『着うたの女王』とも呼ばれ、ガラケーがまだ主流だった頃には、携帯で楽曲をダウンロードできる『着うた』で、西野カナの多くの楽曲がダウンロードされた。

西野カナの楽曲からも、ガラケーが主流だった頃の雰囲気を感じとることができる。たとえば、『Dear…』『もっと…』『涙色』といった楽曲は、ケータイでのメールでのやりとりが印象的な曲だ。『もっと…』では、『絵文字1つもない そっけない返事しか届かなくて』や『返事ないままじゃ眠れないよ メールも電話も“会いたい”も いつも全部私からで』などの歌詞がつづられている。

その一方で、2016年に発表された『Have a nice day』では歌詞の中に、『スマホを片手にコーヒー』といった、スマートフォンのワードも登場した。フジテレビの情報番組『めざましテレビ』のテーマソングだったこともあり、今でもこの曲を聴くとその当時の通勤、通学の1コマを思い出す読者もいるだろう。西野カナの曲は、まるでグラデーションのように、歌詞にその時代の流行が反映されているのだ。

2010年代前後のファッションと西野カナ

西野カナのファッションも多くの若者に影響を与えた。

西野カナがヒット曲を連発した2009年~2010年辺りの時代は、まさに平成最後のギャルの時代だったと言える。この時代のファッションについて振り返ってみると、2009年には『Cawaii!』、2014年には『egg』、そして2016年には『Ranzuki』と、ギャルカルチャーを牽引してきた多くの雑誌が休刊した(※eggは2018年にWEBで復活、2019年以降は復刊号が発売されている。Ranzukiは2021年にYouTubeとして復活した)。

2010年代前後には「選択肢が増え、系統から解放されたファッション」が注目されるようになった。1990年代後半はルーズソックスやミニスカなどギャルを代表とする渋谷系と、雑誌『Zipper』を代表とするポップで個性的な原宿系に2極化されていた。だが2000年代に入ると、それぞれの系統が緩やかにミックスされていった。それにより、ファッションにも選択肢が増えていったのだ。

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