斜陽のイギリスを輝かせたエリザベス女王の軌跡 「大王」と呼ばれるにふさわしい在位70年

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エリザベス2世の死去を悼む市民たちがバッキンガム宮殿の前に捧げた花束。花束に囲まれて、エリザベス女王の写真と国旗が置かれている(写真・2022 Bloomberg Finance LP)

2022年9月8日に96年の生涯を閉じた、イギリスの君主エリザベス2世(1926~2022、在位1952~2022年)は、今から1000年近く前の「ノルマン征服(1066年)」によって確立された王朝から42人目の王であった。

なかには「アンジュー帝国」といわれる現在のフランスの西半分まで支配したヘンリ2世(在位1154~1189年)や、6人の妃を持ち「暴君」とも呼ばれたヘンリ8世(同1509~1547年)、清教徒革命で公衆の面前でクビを切られたチャールズ1世(同1625~1649年)など、さまざまな顔ぶれが並んでいる。

しかし後世、亡き女王は「エリザベス大王(Elizabeth the Great)」と人々から呼ばれる君主として、歴史にその不滅の名声を残すに違いない。

内憂外患のイギリスを支えた女王

それは何も、歴代イギリス君主で最長の在位記録(70年214日)と最高齢記録を保持していたからにとどまらない。いずれの記録においても、エリザベス2世が登場するまではイギリス史上で最高位に位置したヴィクトリア女王(在位1837~1901年)は、言わずと知れた「大英帝国」の時代の君主であった。

彼女の時代にイギリスは、アジアやアフリカなど世界中に植民地を拡大し、ヴィクトリアが亡くなった1901年までには、イギリスは世界の陸地面積の5分の1を支配していたと言われている。ヴィクトリアはまさにイギリスが「上り坂」にあった時代の女王だった。

これに対してエリザベス2世は、明らかにイギリスが「下り坂」にあった時代の女王であった。高祖母ヴィクトリアが亡くなった後、イギリスは20世紀前半の2度の世界大戦でいずれにおいても戦勝国に収まったにもかかわらず、とくに第2次世界大戦後の疲弊ぶりは激しかった。経済はどん底に陥り、人々は配給権(クーポン)を片手に食料や日用品を何時間も並んで手に入れなければならなかった。

エリザベスが即位したのは、そんなさなかの1952(昭和27)年のことであった。翌1953年6月に挙行された盛大な戴冠式は、イギリスの戦後復興を印象づける大切な行事となった。しかし同時期に、イギリスはアジアやアフリカの植民地を次々と失っていった。

このように文字通り「内憂外患」の様相を呈していた斜陽の老大国イギリスを、国民とともに支えていったのが25歳で即位したばかりのエリザベス2世だったのである。

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