運の尽き?「国葬」新味ない首相答弁が深めた危機 低姿勢で説明したが、内容は従来の繰り返し

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閉会中審査に出席した岸田文雄首相
閉会中審査に出席した岸田文雄首相。説明は従来の見解の繰り返しだった(写真:ブルームバーグ)

旧統一教会問題が絡んで、9月27日に開催される安倍晋三元首相の「国葬」への反対論が急拡大する中、岸田文雄首相は8日の衆参両院での閉会中審査で国葬決定の経緯や経費などについて説明した。国会での説明は初めてで、狙いは幕引きだったが、説明に新味はなく、事態打開にはつながらなかった。

自ら要請した閉会中審査だけに、岸田首相は国葬の妥当性などを低姿勢で説明し、理解を求めた。内容は従来の見解の繰り返しで説得力に欠けたが、野党側も共産党などを除き、国葬出席を念頭に置いていたこともあってか、追及はやや迫力に欠けた。このため、「単なる通過儀礼の政治ショー」(自民長老)に終わったようにもみえる。

その一方で、岸田首相の一連の説明が国民の理解を得られるような内容ではなかったことで、与党内にも「幕引きどころか問題の先送りで、内閣支持率のさらなる下落も避けられない」(自民長老)との声が広がる。

このまま首尾よく国葬にこぎつけても、10月3日召集が予定される次期臨時国会は、冒頭から「旧統一教会国会」となるのが確実で、政権危機がより深まる事態は避けられそうもない。

「内閣葬」への変更要求に応じず

8日午後1時から衆院、同3時からは参院の各議院運営委員会で、国葬に関する初の閉会中審査が行われた。国葬を主導した岸田首相が自ら説明に立ち、立憲民主党の泉健太代表ら野党側は、国葬とすることの妥当性や全額国費で賄う経費の詳細などを、繰り返しただした。

野党のトップバッターとなった泉氏は、国葬を「内閣葬」に変更するよう強く迫ったが、岸田首相は応じなかった。

泉氏は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と安倍氏の関係もただしたが、岸田首相は「ご本人が亡くなられたことで実態把握に限界がある」と交わし、自民党総裁の立場で「断固関係を断つ」と繰り返すだけで、論議はかみ合わなかった。

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