運の尽き?「国葬」新味ない首相答弁が深めた危機 低姿勢で説明したが、内容は従来の繰り返し
これに対し、岸田首相(自民党総裁)は8日夜、首相官邸で記者団に「調査結果を重く受け止めている」と表明。「今後、国民の不信を招くことがないよう社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たないことを党の基本方針とし、徹底していきたい」とこれまで通りの方針を示した。
確かに、安住氏の指摘どおり、閉会中審査が行われた8日午後から9日早朝にかけては、国内外の大ニュースが飛び交った。同日深夜から未明にかけては岸田首相を含む日米欧の主要国首脳らがテレビ会議を開き、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナへの追加支援について「引き続き結束して対応する」ことなどを確認した。
イギリスのエリザベス女王の国葬が比較対象に
さらに、その直後に「イギリスのエリザベス女王が96歳で死去」のニュースが全世界を駆け巡った。女王死去を受け、王位継承権1位の長男チャールズ皇太子(73)がチャールズ3世として新国王に即位、葬儀(国葬)は死去から10日間経過後の9月19日以降に、ウエストミンスター寺院で行われる方向とされる。
これを受けて岸田首相は9日午前、エリザベス女王死去について「深い悲しみを禁じえない。イギリスの王室、政府、国民に心から哀悼の意を表する」と沈痛な表情で語った。政府としては宮内庁とも協議のうえ、早急に女王の国葬に誰が参列するかなどを決める必要がある。
女王死去について、政府の外交責任者の間では「女王の国葬はまさに世界的ビッグイベントで、しかも安倍氏国葬の直前というのが問題」との声が相次ぐ。「世界が悲しむ国葬と、国内ですら反対が多い安倍氏国葬では、別次元とはいえ、どうしても比較の対象となる」との不安からだ。
岸田首相は就任以来、「強運の持ち主」(自民長老)とされてきた。しかし、「安倍氏の国葬即断や電撃的内閣改造以来、すべてが悪い方向に向かい始めた」(官邸筋)との見方が広がる。閉会中審査や旧統一教会との関係断絶での岸田首相の「決断と実行」が、かえって政権危機を拡大させているのは否定できないからだ。
岸田首相自身は「難題を次々解決していけば、政権への支持は回復するとなお自信満々」(周辺)とされる。しかし、自民党内でも「このままでは早晩『運の尽き』となりかねない」(自民長老)と政権の今後を不安視する声が広がり始めている。
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