とくに農村部の韓国人男性と結婚した日本人女性信者の暮らしは過酷です。農村部で日本人女性信者たちに聞き取り調査をするようになって気付いたのは、経済的困難を抱えている人が少なくないことでした。目立った産業がある場所でないため、夫が安定した定職についているという人ばかりではありません。「月に給与が30万ウォン、50万ウォン(3万円、5万円程度)しかないときもある」と語る女性もいました。
さらに夫や夫の家族には統一教会の信仰がないか、あっても熱心ではないと語る人がほとんどでした。夫が礼拝に行かなかったり、教えでは禁じられている飲酒、喫煙をしていると語る女性もいました。
農村の電信柱に貼られた「結婚相談」チラシ
――夫たちは信仰する気がないのに、どうして統一教会に入信したのでしょう。
統一教会に入ると結婚できると認識されているからです。日本人女性との結婚を勧誘するチラシを農村で見かけました。
チラシには「日本女性 真の結婚」とあり、「短期大学以上の学歴」「心身・心の健康な方」「職業がたしかな青年」と書いてあります。その下には「純潔な価値観の理想的な配偶者 結んでさしあげます」とあります。
韓国では統一教会が「結婚勧誘」していることはよく知られたことです。チラシのどこにも「統一教会」と書いていませんが、これを見た人は統一教会のチラシだとわかります。地方の農村部における男性の結婚難は日本にも見られますが、韓国も同様です。なかなか結婚相手に恵まれない農村の独身男性や、その親はこのようなチラシをみて統一教会に行ってみようかとなります。統一教会に入信しても「にわか信者」といえます。
話を聞いた日本人女性信者たちも自分たちの夫が結婚目的で統一教会に入ったということを認識していました。
「結婚勧誘」は韓国農村部における男性の結婚難という切実な問題に統一教会が着目して始まった布教の方法といえるのではないでしょうか。