鹿島と大成建設、トップ交代に残された宿題

"大政奉還"は先送り、日建連会長は誰に?

鹿島は、今回の社長人事で一気に若返りを図ろうとした場合、渥美氏の処遇をどうするかという悩ましい問題が浮上したはず。渥美氏より年上の押味氏の社長昇格で、取締役会は金子宏代表取締役副社長(73)が退任するだけで創業一族の取締役すべてが留任。大政奉還問題は先送りされた格好だ。今回、社外取締役3人を加えることを決めたことで、時期を見て鹿島光一氏が取締役に復帰する可能性も出てきた。

大成・山内氏、社外活動にも意欲を見せる

鹿島より1カ月前に社長交代を発表した大成建設では4月1日付で村田誉之取締役常務執行役員(60)が社長に昇格し、山内隆司社長(68)は代表権のある会長に就く。これによって山内氏は日建連会長にいつでも就任できる体制が整い、記者会見でも「今後は不義理をしてきた社外活動に積極的に取り組む」と意欲を示した。

山内氏は東京大学工学部建築学科の内田祥哉名誉教授(89)研究室の卒業で、ゼネコン大手の宮本洋一清水建設社長(67)と白石達大林組社長(67)は同じ研究室の1年後輩だ。記者会見で山内社長は「社長に指名するまで村田さんが内田研出身とは知らなかった」と述べたが、「いまも元気にゴルフやスキーを楽しむ内田先生のところに皆が集まる」(清水建設の宮本社長)とOBの結束力は強いようだ。

大成建設は、1990年代後半に同じ早稲田大建築出身の佐古一会長と里見泰男社長との激しい派閥抗争や不良債権問題などで経営が悪化。本社ビルの売却などで危機を脱したあと、2001年に土木出身の葉山莞児氏が社長に就任し、積極的な海外受注で再び不採算工事を抱えるなど苦しい時期が続いた。こうした経営状況を立て直したのが2007年に社長に就任した山内氏で、村田新社長も山内路線を踏襲するのは確実だろう。

日建連の人事に注目が集まる

今後の注目は、日建連の会長人事となる。1993年のゼネコン汚職事件で当時の日建連会長だった吉野照蔵清水建設会長が逮捕され、前田建設工業の前田又兵衛会長が8年間、会長を務めたが、2001年以降は再び大成建設、鹿島、清水建設の3社による輪番制で2期4年ずつ会長を務めてきた。現在の日建連会長は2013年5月に就任した鹿島の中村社長だが、本来は大成建設の順番だったのを山内氏が年長の中村氏に譲ったとされる。

日建連では、昨年から50年後の建設産業の将来像を見据えた「中長期ビジョン」の策定を進めており、今年度中にはまとまる見通しだ。慣例ではもう1期2年、中村氏が会長を務める可能性はあるが、バトンタッチして山内氏の手腕発揮を期待する声もある。かつては談合問題で社会的な批判を浴びてきた業界だが、職人不足などの構造問題に業界あげて取り組むにはトップ同士の結びつきが強い今が、大きなチャンスかもしれない。

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