不通の鉄路が工事用道路に、肥薩線被災地の現状 豪雨災害2年、列車の代わりにトラックが走る

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肥薩線白石駅
線路の一部がアスファルトで固められ工事用道路になっている肥薩線白石駅(記者撮影)
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報道陣を乗せた2台のマイクロバスが熊本県内にある球磨川沿いの狭隘な道路を走る。JR九州が8月26日に実施した肥薩線の被災状況に関する報道向け現地視察会である。

緑々と生い茂った木々で川の様子がよく見えなかったが、ふと視界が開けると球磨川の奥に橋の残骸が見えた。2020年7月3〜4日の豪雨(令和2年7月豪雨)による球磨川の氾濫で崩壊した球磨川第1橋梁である。2年前にもこの地を訪れたが、橋脚や橋桁が流失した無惨な姿はそのときと変わらない。

正確に言うとまったく同じではなく、川に転落したトラスは消えていた。「そのまま放置しておくと危険なので除去した」と、JR九州地域戦略部の堀江秀理担当部長が話す。

球磨川沿いでは各所で道路整備や治水対策などの工事が進んでいる。一方で、鉄道橋は支障物の除去にとどまる。復旧方針が決まらないため、被災から2年がたつにもかかわらず、復旧作業が始まらない。

県・国は早期復旧に積極姿勢

令和2年7月豪雨は死者65人、行方不明者2人という人的被害を熊本県内にもたらした。道路も1467カ所で被害が発生し、16カ所の橋梁が流失した。被害総額は5222億円(2021年3月時点)。「昭和以降に発生した災害のうち、熊本地震に次ぐ被害額」(熊本県)という。

JR肥薩線のうち八代―吉松間も致命的な損害を被った。球磨川第1橋梁に加えて第二球磨川橋梁も崩壊。そのほかにも築堤の崩壊や路盤や駅ホームの流失など被害件数は448件に及ぶ。特に深刻なのが八代―人吉間で、全長52kmのうち「約半分近くが被害を受けた」とJR九州の古宮洋二社長が話す。448件のうち八代―人吉間の被害は419件に及ぶ。

県は肥薩線の早期復旧を目標として掲げている。国もその姿勢を後押しする。県内12市町村などで構成される「肥薩線利用促進・魅力発信協議会」は復旧に向けた要望活動を繰り返し行っており、今年3月に実施されたアピール集会には金子恭之総務大臣や蒲島郁夫熊本県知事も出席した。

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