大雨被害の上高地線、注目高まる「新車」と「復旧」 2021年夏に橋梁が被災、6月の全線再開目指す

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橋梁の被災で電車が途中の渚駅止まりとなっているアルピコ交通上高地線(記者撮影)
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年々深刻化する自然災害の脅威。毎年のように起きる豪雨などにより、鉄道が被災し不通となるケースも珍しくない。2021年8月中旬に西日本から東日本にかけての幅広い範囲を襲った大雨でも、九州から東北までの各線で土砂の流入や盛土の流出といった被害があった。

そして、現在も一部区間で不通が続く鉄道がある。北アルプスのふもと、長野県松本市内を走るアルピコ交通上高地線だ。同線は2021年8月15日、河川の増水で鉄橋の橋脚1本が傾き、線路が歪んで列車が運行できない状態に。現在は今年6月の全線運転再開に向け、復旧作業を進めている。

日ごろは穏やかな流れの川が牙をむき、一部不通となってしまった鉄道。一方で、被災を機にこれまで「当たり前」のように走っていた電車の存在に改めて関心が集まり、支援の動きも広がっている。

コロナ禍前は利用が伸びていた

アルピコ交通上高地線は、JR松本駅を起点に上高地の玄関口である新島々駅まで約14.4kmを結ぶローカル線。白地にカラフルなストライプを入れた2両編成の電車が通勤・通学の足として走る。沿線に目立った観光地や絶景の車窓はないが、終点の新島々は上高地や乗鞍方面に向かうバスへの乗り継ぎ拠点となっており、観光シーズンは登山客らで賑わう。利用者数は一時期減少が続いたものの、2010年代に入ってからは増加傾向だった。

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「やはりインバウンドの伸びが大きかったですね。上高地に行くお客様は終点まで乗ってもらえますので。定期利用も、松本市の『ノーマイカー通勤』施策に協力して通勤に電車を使っていただいたり、沿線の松本大学が学生さんに利用を呼び掛けてくださったりと、2019年までは右肩上がりでした」。同社の隠居哲矢鉄道事業部長はコロナ禍前までの状況をこう説明する。100円の収入を得るのに要する費用を示す「営業係数」は、2019年度で97.7。つまり黒字だった。

地方鉄道としては健闘していたといえる同線。だが、2021年8月の大雨は一見災害とは無縁そうにも見える小さな鉄橋に大きなダメージをもたらし、一部区間を不通に追い込んだ。

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