しかし、「バブルは最後は崩壊するではないか。それは、何らかの軸に引き戻されているのではないのか?」という疑問があろう。
いや、やはり、軸はないのだ。軸はないが、浮かび続けた飛行船は、燃料切れで墜落するのだ。燃料切れを待つしか、バブルを適正に戻すすべはないのだ。
気流によっては、どこまでも行ってしまうこともある。気流が悪くても、燃料をふかし続ければ、燃料を大量に供給し続ければ、それは無限と思われるぐらいまで飛んで行ってしまい、二度と地上には戻ってこないかもしれないのだ。実は、地球には引力があるわけだが、引力という軸もない金融市場においては、地上まで落ちてくるとは限らない。
さて、燃料とは、量的緩和である、と行けば、話はここで終わってすっきりするのだが、他の燃料が燃えるのを支えるモノではあっても、実は量的緩和自体は、たき火に火をつけるときの新聞紙、あるいは、途中で消えかかったときの新聞紙追加にすぎない。
量的緩和は、「メイン燃料」にはなりえない
量的緩和が、普通の大幅金融緩和と異なるのは、長期国債を実際に買い、場合によっては、不動産や株までも実際に買うから、実弾投入となるからで、それは燃料の一部となる。しかし、本質的には、金融緩和とは、投資あるいは投機を刺激するだけのものであるから、実際のメイン燃料がなければ、炎を持続させることはできない。
なぜなら、金融緩和をしたとしても、それは現金と短期国債の交換に過ぎず、国債を売りさばいて現金を手に入れた投資家(銀行を含む)が、次にその燃料を投入しなければいけないからであり、ベースマネーが増えても、マネーサプライ全体が増えない、というような状況は、新聞紙だけを燃やしているたき火のようなモノである。
では、燃料とは何か。投資家たちの資金であり、投資意欲である。アニマルスピリット!と叫ぶ人もいるかもしれないが、アニマルスピリットとは、みな定義を間違っているし、その議論をするのは無駄なので、「投機で儲けたい欲望」、と言っておいた方がいいだろう。
つまり、投資資金と欲望の続く限り、バブルは続くのである。
だから、実体経済と無関係なのだ。
現在の状況は、バブル崩壊後、投資意欲はなくなったが、投資資金を残した投機家たちが、金融市場に群がって、リスクを取らずに、しかし儲けようと右往左往している状況である。
そこに助け船を出したのが、量的緩和で、みんなが同じ方向に動くのであれば、上げる方向だよと、シグナルあるいは号砲を放った。そして、自らも新聞紙、いや実弾、いや資産買い入れ政策を行い、実際に買った。
だから、金融市場における資産価格は暴騰した。皆が、買う方向で団結したからである。それが、当初の米国国債であり、それが欧州国債、新興国国債となり、利幅を稼ぎ、その余力で、株式になだれ込んできた。そして、実体経済は、この動きと無関係に立ち直ってきたから、株式に投資するのは、伝統的な理論から言っても合理的となった。そして、さらに株式は上昇した。
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