総崩れの化粧品メーカー「ドル箱低迷」の深刻理由 大手3社下方修正、中価格帯ブランドの苦戦鮮明
その筆頭が、EC発の商品や韓国コスメだ。例えばクレンジングバームで知られる「DUO(デュオ)」は、ECで認知度を高めてからドラッグへ進出したブランド。2022年に入ってから勢いは衰えているが、多くの大手ドラッグが売り場で取り扱っている。さらにマツキヨココカラ&カンパニーの「レシピオ」や「ザ・レチノタイム」、スギ薬局の「プリエクラU」など、ドラッグ自らが中価格帯のPB化粧品を強化する動きもある。
押され気味の大手メーカーの中価格帯ブランドが、店頭で取り扱ってもらえる商品数や棚の面積を維持することは難しい。ただ、スター商品を生み出せれば、小売店との交渉を優位に進められる可能性が出てくる。
代表格が、1997年に発売されたファンケルのロングセラー商品「マイルドクレンジング オイル」だろう。一時はデュオに押されていたが、2021年11月のリニューアルを機に勢いを取り戻し、現在もドラッグだけでなくコンビニなど多くの小売店に展開している。
コーセーはグループ横断で販促を強化
大手もテコ入れに動き出している。
資生堂は、中価格帯のエリクシールを9月にリニューアルする。「エリクシールの宣伝費用やマーケティング費用はずっとカットしてきたが、9月からは思い切って強化をする」と、魚谷社長は決算会見で明かしている。
コーセーはグループ会社を巻き込んだ商品展開を始めた。同社はアトピー性皮膚炎向けの外用薬などを製造するマルホと2019年に共同で会社を立ち上げ、敏感肌用スキンケアの「カルテHD」シリーズを発売した。中価格帯でありながら売り上げを伸ばしている。
さらにカルテHDとコーセーの雪肌精、グループ会社・コーセーコスメポートが展開する「セラミエイド」の3ブランドで、敏感肌用スキンケアの合同プロモーションも始動させた。グループ横断型の販促はコーセーにとって初の試みで、コーセーの小林一俊社長も「グループを挙げて敏感肌市場を席巻していく」と鼻息が荒い。
ドル箱の中価格帯ブランドで存在感を取り戻せるのか。長引く冬の時代から抜け出すには、その成否がカギを握ることになる。
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