総崩れの化粧品メーカー「ドル箱低迷」の深刻理由 大手3社下方修正、中価格帯ブランドの苦戦鮮明

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中でも、2000~5000円程度の中価格帯化粧品の苦戦が際立っている。ブランド名でいえば、資生堂の「エリクシール」や「イプサ」、コーセーの「雪肌精」、ポーラ・オルビスHDの「オルビス」が有名だ。エリクシールや雪肌精はドラッグストアが主力の販売チャネルで、店舗によっては美容部員を配置し、説明販売を行っている。

エリクシールの4~6月の売り上げは前年同期と比べ14%減、雪肌精も1~6月の国内売り上げが前年の42億円から今年は34億円に落ちている。高額化粧品よりも容器が簡素で販売数量の多い中価格帯ブランドは、利益率が高い「ドル箱」的な存在だ。それだけに、全社業績に与えるインパクトも大きい。

月別の国内化粧品市場規模の推移

「幅広い分野で値上げの動きによる家計圧迫もあり、市場の成長は低価格帯が中心となっている」。資生堂の横田貴之取締役は決算会見で、苦戦の要因をそう分析した。

物価高騰の影響などを受け、生活必需品ではない化粧品への出費を抑える傾向が顕著になっているようだ。実際、ロート製薬の「メラノCC」や「肌ラボ」など1000円程度の安価なスキンケア商品は、前年比で売り上げを10%程度伸ばす好調ぶりだった。

熾烈化するドラッグでの陣取り合戦

中価格帯への逆風は、これだけで収まりそうにない。今後は主要な販売チャネルであるドラッグで、商品棚をめぐる争いが激化していくからだ。

出店競争が続くドラッグ業界は、もはや薬と化粧品の販売だけでは売り上げの拡大が見込めない状況に来ている。そこで各社はスーパーの顧客も取り込もうと、食品の取り扱いを強化。北陸最大手であるクスリのアオキホールディングスは、全店舗での食品の取り扱いを今後3年をかけて強化する方針を示している。

クスリのアオキより売上高の大きいツルハホールディングスやスギホールディングスも、同じく食品強化の方針を打ち出している。従来の売り場面積で食品の取り扱いを強化するならば、ほかの商品を削らなければならない。食品と比べて集客力が低く、商品の回転が遅い化粧品は、真っ先に棚落ち候補に挙がる商材だろう。

一方で化粧品コーナー内での棚取り合戦も厳しさを増すばかりだ。「制度化粧品(説明販売を行う化粧品)以外の中価格帯ブランドが勢いを増している」と、あるドラッグの幹部は指摘する。

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