資生堂社長、値引き販売で異例の「お詫び文」 自社ECでの安売りが化粧品専門店の反発を買う
「今般の弊社ワタシプラス施策に関し、専門店お得意先さま各位には、多大なご心配をおかけしたことに対し深くお詫びを申し上げる次第です。
本件に関しての弊社資生堂ジャパン内における当施策に関する協議の不足、もたらす影響への配慮の不足、さらに前後におけるコミュニケーションの不備、事後の対応の遅れ、などにより皆さまから弊社に対する信頼を損ねることとなったことは誠に遺憾であり、資生堂グループの責任者として陳謝いたします」
「ワタシプラス取り組みに関するお詫び」と題されたこの文書。化粧品国内最大手の資生堂が12月2日付で化粧品専門店に配布したものだ。化粧品専門店とは、資生堂やコーセー、カネボウなど多くの化粧品メーカーのブランドを販売する化粧品に特化した小売店を指す。
詫び状には、資生堂社長兼資生堂ジャパン会長である魚谷雅彦氏の直筆と思われる署名が記載されている。
「化粧品専門店を30年以上経営しているが、社長からお詫び状が送られてくるのは初めて」。地方の化粧品専門店のオーナーがそう話すように、異例の事態が起きている。
ブランド価値を自身で毀損する行為
資生堂は謝罪することになったのはなぜか。原因は、自社ECサイト「ワタシプラス」で販売した、「スペシャルキットコレクション」という値引きセットにあった。
例えば、主力ブランドの「SHISEIDO」の化粧水と美容液、美白クリームの3点セットを「エイジングケア体感キット」と称して2万9700円で販売していた。この3品合計の定価は3万5860円。キットのほうが6000円以上も安かった。「d プログラム」のスキンケアセットは、8月に新発売された化粧水と乳液を買えば、3300円の美容液が無料でついてきた。
これらの値引きセットに強く反発したのが化粧品専門店だ。複数の専門店オーナーが異口同音に、「メーカー自らの値引き販売は、商品のブランド価値を自身で毀損しているに等しい。(今回の値下げは)誤った判断だ」と静かな怒りをみせた。また「定価で売っているわれわれがバカをみる」と失望を口にした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら