特急「サフィール踊り子」コロナ禍でも人気の秘密 「乗って楽しい」とは一味違う伊豆への交通手段

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青い海をバックに疾走する「サフィール踊り子」(写真:久保田 敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2022年10月号「サフィール踊り子と伊豆観光」を再構成した記事を掲載します。
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スーパービュー以来30年 渇望の新車登場

特急「サフィール踊り子」は2020年3月14日のダイヤ改正で東京―伊豆急下田間に登場した。前日まで運転されていた「スーパービュー踊り子」に代わる列車だが、そのE261系はJR東日本が「サフィールはサファイヤを意味するフランス語。宝石のサファイヤのように青く輝く美しい伊豆の海と空をイメージさせ、上質・高級で優雅な旅を楽しんでもらいたいという願いから名付けた」と紹介するように、8両編成全車がグリーン車であり、前の列車とは一線を画す。また、1990年4月に運転を開始したスーパービューの251系以来31年ぶりに伊豆方面に投入された完全な新車としても特筆される。サフィールが生まれた経緯と狙いを探ろう。

東京から伊豆へ向かう列車は、つい最近の2021年3月まで、1981年に国鉄が登場させた185系電車が40年も使用され続けてきた。現在、その後継を務めるE257系も、中央線「あずさ」「かいじ」からの転用で、見違えるほどにリニューアルされたものの新車ではない。首都圏エリアで1、2を争う著名な観光地への列車にもかかわらず――である。

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“伊豆”はかねて新車を渇望していた。しかし、鉄道側としては、伊豆への投資はむずかしかった。と言うのも、温泉観光地への行楽列車は波動が非常に大きい。年単位で言えばシーズンとそうではない時期、週で言えば週末と平日の落差が非常に激しく、1日の中でも観光に適した時間に到着した列車の折り返しは“空気輸送”となることが多い。午前中に到着した編成を夕方まで待たせておくには留置線が足りず、第一、日中ずっと編成を休ませておいては非効率であるし、続く時間帯の列車に充当する編成がなくなる。どうしても回送のような営業列車が生じてしまう。

伊豆と言えば「夏」を思う人が多いだろうが、少子化とともに海に出かける機会は減り、昔のように特急・急行から快速まで幾多の臨時列車が踵を接する時代は過ぎ去った。また、首都圏近傍の温泉地としての名声は言うまでもないが、そちらも大口団体旅行が廃れ、伊豆に限らずその後の温泉観光地の苦闘は知られるところだ。

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