東上線大山駅、「高架化」で街の味わいは残るか 踏切事故や渋滞解消期待、商店街も再開発の波

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大山駅は高架駅となり、駅舎の屋根の高さは約16mになる予定だ。東武によると、駅舎の構造は、1階が改札階、2階がホーム階になる。ホームは現在と同様、相対式の2面2線を計画する。

ホームの位置は中板橋駅側(川越側)に移動するが、改札口は現駅舎の南口改札と北口改札付近の高架下に設置する予定。駅舎の設備としては「安全性や快適性の向上のため、可動式ホーム柵・エレベーター・エスカレーター等の設置を検討している」(同社改良工事部担当)という。そのほかの詳細な内容は、今後検討を進めていく方針だ。板橋区には、駅前広場を整備する計画もある。

周辺で進む再開発計画

大きく変貌しそうなのは東上線ばかりでない。現在、東京都健康長寿医療センターや板橋区立グリーンホールが面する都市計画道路補助第26号線(都道420号鮫洲大山線)は、東上線の踏切と国道254号(川越街道)との間を拡幅して整備する計画がある。

都道420号大山踏切
踏切を挟んで手前が整備する都市計画道路補助第26号線。国道254号までの間を拡幅する(記者撮影)

一部は商店街と交差する格好になる。同地点では「大山町クロスポイント周辺地区」の再開発プロジェクトが進行中だ。住宅や店舗で構成するA~D街区があり、A街区には27階建て、D街区には26階建ての約95mの高層ビルが建つ予定。さらに西側の隣接地に「大山町ピッコロ・スクエア周辺地区」の再開発事業がある。こちらも2棟のタワーマンションがそびえることになる見通しだ。

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大山駅付近の高架化は、道路の渋滞が解消されるばかりでなく、踏切事故による電車の運転見合わせや、線路内立ち入り、無理な横断によるダイヤ乱れなどが減って東上線ユーザー全体にとってもメリットになる。再開発で地元には新たな人口の流入も期待できる。一方で、これまで人を引き付けてきた大山の街独特の魅力が失われないような工夫も必要になりそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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