超高層ビルを襲う地震は、なぜ怖いのか 「長周期地震動階級」を知っておこう

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「ドン」と突き上げるような地震は、地表の揺れとしては大きく感じるが、周期1.6秒以下なら長周期地震動の対象でなく「階級0」となる。かわりに海溝型の地震は遠くからでもユラユラした大きな揺れが内陸に伝わるため「階級」は上がりやすい。先の東北での逆転現象はそのためで、「階級2」も三陸の沿岸部ではなく、秋田県内陸南部に出された。

「階級2」は「室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる」揺れ。そして、「立っていることが困難になる」「間仕切り壁などにひび割れ、亀裂が入ることがある」という「階級3」は、昨年11月の長野県北部地震の際に、運用後初で観測された。「這わないと動けない」「固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある」という「階級4」はまだ出されていない。

もちろん出されたとしても、その場所に影響を受ける高層ビルや石油タンクなどの構造物がなければ、あまり意味がないことになる。とくに、高層ビルやマンションが密集する都市部において有効な指標と言える。

3・11の教訓受け試行、伝え方を模索

4年前の東日本大震災では、三陸沖を震源とする地震が東京や800キロメートル以上離れた大阪まで激しく伝わった。このことは、多くの読者にとって記憶に新しいところだろう。

気象庁が地震発生時に100〜150メートル級の高層ビルにいた人たちに聞き取りをしたところ、東京では「嵐の中の船の中にいるような揺れで、目が回ってしゃがみ込んだ」「最初は円をかくようになって、次第に大きく回る感じ。高層階は立っていられないくらい」「屋上で設備の点検をしていたら次第に揺れが大きくなって、振り落とされるのではないかと思い、床に這いつくばった」「外を見ると、隣のビルがしなるように大きく揺れていた」などの生々しい証言が飛び出した。

大阪でも、ビルの43階にいた男性は「立っていられないほどの揺れで、机に手をついて支えていた」、20階にいた女性は「エレベータホールからバシンバシンという大きな音が聞こえて怖かった」などと答えている。

大阪の臨海部に建つ大阪府咲洲(さきしま)庁舎は、長周期地震動の影響をまともに受けた超高層ビルの一つだ。最上階の52階は左右に最大2.7メートル振幅する揺れが10分間も続いた。天井の落下や壁の亀裂などの損傷が約360カ所発生。エレベータは全32基が停止、うち4基で人が5時間近くも閉じ込められた。大阪市内の揺れは最大で震度3だったことを考えると、このビルの中はまさに「別次元」だったのだ。

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