超高層ビルを襲う地震は、なぜ怖いのか 「長周期地震動階級」を知っておこう

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当時、本庁舎移転を検討していた橋下徹知事は、専門家との議論の末に全面移転を断念。長周期地震動に備えた耐震補強をした上で、第二庁舎としての利用は続けることにした。

現在、約300台の制震ダンパー類を取り付け、長周期振動センサーをエレベータに設置するなどの工事を終え、ロッカー、デスク類もすべて床や壁に固定している。高層階で勤務する総務課職員は「部署の配置換えなどの際にもいちいち固定し直さなければならないが仕方ない。揺れを想定して机の下で待機する訓練や、非常階段までのルートの確認などもよくしている」と話す。

情報の出し方に工夫が必要

咲洲庁舎の専門家会議で委員を務めた名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授は、気象庁の長周期地震動に関する検討会にも中心的にかかわり、情報伝達などについて検討を重ねた。

「震度とは違う揺れがあることを一般の人に理解してもらうために、まず先駆けてやることに意味がある。不特定多数でなく、高層ビルやマンションにいる人たちにどう効果的に、混乱なく伝えられるか。情報の出し方を徹底的に工夫しなければならない」と指摘する。地震発生直後はもちろん、事前の耐震補強や家具止めなどの意識啓発にも活用されるべきだという。

現在は気象庁のホームページにアクセスした人だけが見られ、伝え方を含め試行している段階だ。同庁地震津波監視課は「いずれは放送局などに提供してテロップとして流してもらったり、携帯電話やスマートフォンのアプリで必要なユーザーに届けたりしたい」と話す。

われわれが「2つの震度」を当たり前のように受け止められる日が、1日でも早く来た方がいいに違いない。

関口 威人 ジャーナリスト

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せきぐち たけと / Taketo Sekiguchi

中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で環境、防災、科学技術などの諸問題を追い掛けるジャーナリスト。1973年横浜市生まれ、早稲田大学大学院理工学研究科修了。

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