調べる習慣が「ある人」「ない人」につく決定的な差 「スマホで検索」すらしない人たちが増加中だ

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しかし、ようやくこの状況を改善するための動きが見られるようになりました。手続きの簡略化につながる「プロバイダ責任制限法」の改正が行われるなど、誹謗中傷を書き込んだ人に損害賠償や厳罰を求める動きが加速しています。

そういった状況では、何を根拠に情報を発信しているのかが重要になります。

「誰かが○○と言っていたような気がする」

情報を発したあとで、こんな言い訳をしても通用しません。曖昧な根拠で情報を発信した人はもちろん、よく調べずに鵜呑みにし、さらにそれをまた発信した人も責任が問われるのです。

間違った発信はクレームを受ける時代

私は20年にわたってテレビの情報・報道番組でコメンテーターを務めています。テレビで話すときには「数百万人の人が聞いている」という前提でコメントを発します。

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事実と違うことを話した場合は少なからず社会の混乱を招きますし、罪のない人を傷付ける可能性もあります。すぐにクレームが来て、謝罪を迫られるでしょう。

また、仮に事実を話したとしても、引用元にとって不都合な情報だった場合には、当事者からクレームが付く可能性もあります。

世の中にはあらゆる物事にクレームを付けようと考える人もいるため、すべてのクレームに真正面から対応していたら、何も発言できないことになります。そのように極端な人は除外するとしても、情報発信の前に、その情報が及ぼす影響を考慮することは必須です。

無防備な発信は批判にさらされやすいということを認識しておくべきでしょう。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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