スズキがミニバンを日産からトヨタ製に替えた訳 「ノア」ベースの4代目「ランディ」とはどんな車か
話がやや横へそれたが、その間に、今度はスズキがトヨタと2017年に業務提携に向けた覚書を締結し、2019年に資本提携を結んだ。スズキはそれまで、アメリカのゼネラルモーターズ(GM)と提携したり、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)と提携を摸索したりしてきたが、国内最大手のトヨタと手を結ぶことで落ち着いた。だが、当初の記者会見では、提携によってどのような相乗効果が得られるかは今後の協議によるとの曖昧な回答だった。
1つのかたちが示されたのは、スズキが開発したSUV(スポーツ多目的車)を、トヨタがインドの拠点として持つトヨタ・キルロスカ・モーターで生産することである。このSUVを、スズキはインドの子会社のマルチ・スズキ・インディアからグランドビターラとして販売する。インド国内だけでなく、アフリカへも販売を広げる計画がある。
インドの悪路走破技術でも連携か
かつて、スズキの技術者に聞いたところによると、インドはまだ未舗装路もあり、凹凸の残る道路を安全・快適に走らせるにはそれなりの知見が必要だとのことであった。もちろん、トヨタにはランドクルーザーやRAV4といった、悪路走破に長けたSUVがあるが、インドの道路事情に詳しいスズキでの開発は、トヨタに新たな知見ももたらすだろう。
次が、国内市場へ向けてトヨタの売れ筋ミニバンであるノアを、スズキがOEMとして車種に加えた今回のケースである。この車格のミニバンでは、日産セレナやホンダ・ステップワゴンが競合になる。
昨年4月から今年3月までの年度販売実績を見ると、ヴォクシーとセレナは5万7000台前後でほぼ並んでいるが、外観以外はヴォクシーと共通のノアの台数を加えると9万9000台近くとなって、セレナの1.7倍近い台数になる。これにランディが加われば、トヨタにおける生産の稼働率はさらに高まるだろう。
ちなみにステップワゴンは、3万3000台弱にとどまる。
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